約 1,319,785 件
https://w.atwiki.jp/77878878/pages/269.html
,. Z ,. < ,. '´ ,. < , '´ ,. < ,. '´ ,. < , '´ ,. < , '´ _,. < , '´ ¬zzz,._ , '´ ,. -┐/ } r=≦ 「__,ノ ,. '´Vム_ }_ -=f /┌{ ∧ iハ ,. '´ ト、 フ. 人_, -┐}__ j '∨ `ヽ l 个 .x 7 r、 ∨} / ト、 '⌒y}Yト、i √∨ヘ__/ /\ 弋! r-'. \ =≦ .ノ !| j∨ .∧ .ト ,-┴─ヽ __ /. Y=彡 V .ハ-=〈二二> '⌒ヽ { 人 _ .//-=≦ リ. ゝ-=t彡 `く =-t /ノ _ -=`ー─≦トzz..--<〈_〉 、__ ./ , '´ _, 斗 ´,. ィ≠x _ { / >' / / // ,' ` ‐─┬‐ ' / / / ./ ./ /. √! ヘト、. / /. / ./ .{ _{,. { V , --- ' ,ハ ' ,ハ { { ‘,x< ヘ `ー ' } {|人 、 'x< ム ,. ==´ヘ Ⅵ \/ z=\___{ ‘ , ヾ、 ./ >'´ ` ー-\ ‘ , / >'´ ` ー-------- \ ‘ , ○━・━・━・━・━・━・━・━□━・━・━・━…━・━・━・━☆━・━・━・━・━・━・━・━◇ 【ゼロ】 LV:? ※最新のステ: ※最新の更新: ○━・━・━・━・━・━・━・━□━・━・━・━…━・━・━・━☆━・━・━・━・━・━・━・━◇ 初登場39スレ571 フリーランサーの傭兵(掃除屋) 番外編@慧音学園 で、学園の破壊と関係者(慧音博士)の掃除にきた。 強さ的には、善戦するもかなわないくらい。ていうか博士がチ-ト 慧音との対戦中に、依頼主の喜緑江美里に始末される。
https://w.atwiki.jp/seikajoshiproject/pages/178.html
【太刀花 凛花】 名前:太刀花 凛花 読み:たちばな りんか 身長:167センチ 体重:「き、筋肉の重みだから。太ってるわけじゃないぞ!」 スリーサイズ:スレンダー。胸は有る。 髪型:黒髪ロング。普段はポニテ。 髪色:カラスの濡れ羽色 一人称:私 性格:厳格な祖父に育てられた、剣道少女。クールで凛々しい……と見せかけて、「イメージと違う……」とか幻滅されるのを怖がる、繊細な子。 誕生日:7月17日 星座:かに座 血液型:A型 所属:高等部2年2組(今年から転入) 部活動:剣道部 好きな食べ物:和食。蕎麦にはうるさい。(でも本当はスイーツがいちばん) 嫌いな食べ物:苦いもの。 好きな飲み物:緑茶(と見せかけて本当はココア) 趣味・特技:剣の道ひとすじ(と見せかけて本当は料理好き) 苦手なもの:デジタル関連全般。 お気に入りのシャンプー:無頓着……のくせに、「女の子らしくない」とか言われると内心傷付いてる。 イメージCV:能登麻美子様。あのお声でボーイッシュとか最高では? 備考:「苗字にも名前にも花が入ってるのに、ちっとも女の子らしくない」とは本人の談。周囲からはカッコいいお姉さまと見られていて、そのイメージを守ろうとクールぶってるが、根は繊細で乙女チック。 偶然「女の子同士でキス」してしまってから、レズでむっつりな自分に気付き大混乱することに……。 台詞例: (キスしたいキスしたいキスしたい……) 「わー!? 私はなにをえっちなコトをー!? 心頭滅却心頭滅却心頭滅却!!」 登場作品 メイン登場作品 【作品名と作品へのリンク】 サブ登場作品 【作品名と作品へのリンク】 【作品名と作品へのリンク】 【作品名と作品へのリンク】
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/33534.html
【検索用 せろへ 登録タグ 2015年 VOCALOID shindy せ ぼーかりおどP 初音ミク 曲 曲さ】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:ぼーかりおどP 作曲:ぼーかりおどP 編曲:ぼーかりおどP mix・マスタリング:shindy 唄:初音ミク 曲紹介 テーマは「距離」。 近づいても見えないものもあるし、遠くに離れたら見えるものも、あると思うんです。 曲名:『ゼロへ』 歌詞 (PIAPROより転載) 空に浮かんだ青い雲 交差点まであと少し 星が落ち着かない夜は鼻歌でうやむやにした 誰も居ない小路で飛び越えたのは 見えないボーダーライン 限りなくゼロに近づいたら 君の心は見えますか? 大きなその目を見つめてたら ちょっとはヒントもらえますか? ほんの少しだけ早くなった鼓動が聞こえそうな 君の上 二十センチ 季節外れのオリオンは見透かしたように赤になる 誰もいない交差点で立ち止まったのは 信号のせいじゃないよ 限りなくゼロに近づいたら 君の本音は見えますか? 笑って開いた口の中から ちょっとは覗けるんでしょうか? ほんの少しだけ遅くなった歩幅に合わせたなら 君の横 あと五センチ 「コンタクトがズレたから」って フラフラと立つその右手を 掴んで電車を降りた夜 ホームの隙間は何センチ? 「いっせいのせ」で飛び越えた あの夏の日のコトを 覚えてる? 限りなくゼロに近づいたって 見えないものもあるけれど 大きなその目を見つめてたら ちょっとは何かわかりますか? それでも見つけた答えまで 辿り着くまでの距離は 君の目の前 あと一センチ コメント 追加乙です! -- 名無しさん (2015-12-29 22 38 41) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2265.html
3話 窓から差し込む光を感知して、ホワイトスネイクは姿を現した。 「サテ……コレカラドウスルベキカナ」 そう言って、窓の外に目をやる。 空はまだ薄暗く、太陽も地平線から少し頭を出した程度。 朝まではまだもう少し時間があるようだ。 「トリアエズハ現状確認ダナ」 ホワイトスネイクが「自分自身の変化」と疑うものはいくつかあった。 1つ目は、「スタンドパワーの供給源」。 エンリコ・プッチが死んでいる以上、彼からスタンドパワーを供給されていることはあり得ない。 自分の限界射程の20メートルという距離を考えればなおさらだ。(これは昨日のうちに確認している) ではいったい誰からスタンドパワーを供給されているのか? 「多分……コイツダローナ」 ホワイトスネイクが白い目を向けた先には、ベッドの上でぐっすりと眠りこけるルイズの姿があった。 確かにそれ以外に考えられない。 事実、昨日からずっと自分の20メートル以内にいたのはルイズだけだったのだから。 となると、ルイズはホワイトスネイクのスタンド本体である、ということになるのだろうか? 答えはノーだろう。 ルイズがホワイトスネイクのスタンド本体であるとするといくつかの矛盾が生まれるからだ。 例えば昨日ルイズはホワイトスネイクの足をふんづけたが、その際にルイズが足に痛みを感じた様子はなかった。 スタンドとスタンド本体の間での「ダメージの共有」がなされていないのだ。(これが2つ目の変化と疑うものである) 他にもホワイトスネイクが「自分の意志で」発現できたということもあるが、 ホワイトスネイクが「自分の意志でスタンド本体を守る」というかなり特異なタイプのスタンドであることを考えれば、 さほど大きな変化でもないのだろう。 いずれにしてもそういった変化もある以上、今この時点で「ルイズが自分の本体である」と決めるのはまだ早い。 ホワイトスネイクはそう結論付けた。 そうこう考えているうちに太陽はそれなりの高さまで昇り、窓から差し込む日差しも強くなってきた。 ホワイトスネイクは改めてルイズに目をやる。 「ふにゃ……」 だが未だにルイズは寝ている。 さっきから何も変わっていない。 「コレヲ起コスベキカドーカ……」 ホワイトスネイクはそんなことを呟きながら椅子に腰かける。 確かに昨日「賭け」には乗ってやったが、ここまで面倒を見てやるつもりはホワイトスネイクにはない。 働くとしても、せいぜいスタンド本体に対するスタンドぐらいの程度でだ。 とその時。 コンコン、と部屋のドアを軽くノックする音が響いた。 だがルイズはまだ寝ている。 応対できるのはホワイトスネイクだけだ。 再びノックオンが響く。 ホワイトスネイクは仕方なくイスから立ち上がり、鍵を開けてドアを開いた。 「誰ダ?」 「おは……って、あんた誰よ!?」 ドアを開けた先に立っていた赤毛の女が頓狂な声を上げる。 「ホワイトスネイクダ。ドウイウワケカ昨日『召喚』サレテキタ、ナ」 「召喚……って、ああ、そういうことね。 へぇ~、あんた亜人ね? にしては随分流暢にしゃべるわねえ」 「ソンナコトハドウデモイイ。 ダガ相手ガ名乗ッタカラニハオ前ノ方モ名乗ルグライシロ」 「あら、失礼。 私はキュルケ。それで……」 キュルケと名乗った女が後ろをちらと見ると、向い側の部屋からのそのそと赤い生き物が出てきた。 「この子がフレイム。私の使い魔よ。 フレイムはただのサラマンダーじゃないわ。火竜山脈のサラマンダーなのよ? 好事家に見せたら、そりゃもう値段なんかつかないわよ?」 そういって豊満な胸を張るキュルケ。 その様子を白い目で見ながらホワイトスネイクは、 「ソウカ……スゴクウラヤマシイナ」 と抑揚のない声(つまり棒読み)で答えた。 「ソレヨリ、ルイズノ部屋ニハ何ノ用デ来タンダ?」 「ああ、そんなことね。単にこの子を見せに来ただけよ」 実に単純な小娘らしい発想だ。 心底うらやましいな、とホワイトスネイクは思った。 「ソウカ。ダガルイズハマダ寝テイル」 「あら、やっぱり? あの子ったらすごい寝ぼすけなのよね」 そう言ってキュルケはくすくす笑った。 「しかしあなた……なかなかいいカラダしてるわね。背もすごく高いわ。 その服は民族衣装か何かなの?」 「民族衣装……ソウダナ、ソンナモノダ」 うっとりした目つきで言うキュルケ。 だがいちいちスタンドの説明をするのも面倒なので、ホワイトスネイクはあえて嘘をついた。 「それに体のイレズミ……これはどんな意味があるの?」 「……一族ノ繁栄トカ、ソノ辺リノ意味ダロウ」 またも当たり障りのない、嘘の回答をするホワイトスネイク。 「ふ~ん……なるほど、ね。あなたに興味がわいたわ。またお話ししてくださる?」 「余裕ガアレバナ」 「ふふ、なかなかガードが堅いのね。 じゃあ私は食堂に行くから、はやく『ゼロのルイズ』を起こしてあげなさいな。 朝食に遅れると朝ごはん抜きになっちゃうもの」 そう言って、フレイムを従えて去っていくキュルケの後ろ姿を尻目に、ホワイトスネイクはルイズのベッドへと向かった。 だが、そこでふと思い当たって立ち止まる。 「『ゼロのルイズ』……ト呼ンダナ、アノ女。ルイズノコトヲ……。『ゼロ』トハ何ダ?」 だが一人で考えても仕方のないことなので、ルイズを起こす作業を始めた。 「オイ、起キロ」 「むにゃ……ふぁ……」 「起キロト言ッテイル」 「ふにゃ…………」 「……仕方ナイナ」 そう呟くと、ホワイトスネイクはおもむろに自分の腕に指を突き刺した。 だが出血はない。 むしろ、水面に指を静かに入れたかのように、ごく自然に指が腕に入ったのだ。 そして指が腕から抜かれたとき、一枚の輝く円盤がその指に挟まっていた。 これが「DISC」。 ホワイトスネイクの能力を語る上でもっとも重要な存在である。 そのDISCを、ホワイトスネイクはルイズの額に静かに「差し込ん」だ。 そしてしばらくして―― 「きゃああああああああっ!!!」 ルイズが悲鳴をあげて跳ね起きた。 その拍子に額のDISCが抜け落ちる。 「はあっ、はあっ、はあっ、………」 「オ目覚メハイカガカナ、ルイズ」 あえて茶化すように言ったホワイトスネイク。 「さささ、さ、最悪、よ。 い、いい夢見てたのに、いいいいいいきなり空から、カカ、カ、カ、カエルが、たくさん降ってくるなんて……」 「ソレハ実ニ酷イ夢ダナ。同情スルヨ」 悪夢を見せた張本人がさも知らぬかのように言った。 「トモカク、朝ダ。 朝食ガソロソロ始マルンジャアナイノカ?」 「それも……そうね。っていうか、何であんたが朝食の時間を知ってるのよ?」 「サッキ部屋ヲ訪ネテキタ女ガソウ言ッテイタ」 「女?」 「赤イ髪ノ……」 「わかった、もう言わなくっていいわ」 ルイズはむっとした顔でそれだけ言うとベッドから降りた。 そしてホワイトスネイクに振り向き、 「着替えるから手伝いなさい」 「……何ダト?」 「ニ度もおんなじこと言わせないで。わたしの着替えを手伝うのよ」 「私ヲ召使カ何カト勘違イシテルンジャアナイノカ?」 「しょうがないでしょ。だってあんた、わたしの目にも耳にもならないし秘薬の材料だって探せないんだもの」 さも当然、と言わんばかりのルイズ。 それを冷めきった目でホワイトスネイクは見下ろした。 「何よ、文句でもあるの?」 「……賭ケニ乗ッテヤッタノハ私ダカラナ……仕方ナイ、トイウヤツカ……」 そんなことをぶつぶつ言いながらホワイトスネイクはクローゼットから服を出し、ルイズに着せてやった。 無論、下着を履くぐらいのことはルイズは自分でやったが。 そして支度を終えたルイズは部屋を出て、食堂へ向かった。 ホワイトスネイクも後に続く。 「改めて確認するけど……あんたは1年間はちゃんとわたしの使い魔でいるのよね?」 「オ前ヲ査定スルタメニナ。アト1年間ジャアナイ。半年ダ」 「は、半年? 半分に縮んでるじゃない!」 「1年ハ長スギル。私ニトッテモ、オ前ニトッテモ。 受験生トイウ連中ハ誰モガ1年トイウ期間ヲ与エラレテイルガ、 ソノ期間ノ内デ多クガ中弛ミヲ起コス……彼ラニトッテ常ニ必死デイルニイハ1年ハ長スギルカラダ。 オ前モ必死ニナルノダロウ? ダッタラ半年ガイイ」 正論だった。 「うぅ~~…………わ、わかったわよ。その代わり、絶対に約束は守りなさいよ!」 「ソウイウコトハ、少シデモ私ニオ前ヲ認メサセテカラ言エ」 つんけんした会話をしているうちに、食堂についた。 ここトリステイン魔法学院の食堂、「アルヴィーズの食堂」には、 百人は軽く席につけそうなぐらい長いテーブルが三つも並んでいる。 そしてその三つともに豪華な飾り付けがなされていた。 「どう? びっくりしたでしょ」 「……学生ナラ、コノ程度カ」 「どういうことよ、それ!」 「王族ノ血縁ノ子女モイルトイウカラ、『エカテリーナ宮殿』ミタイナノヲソウゾウシテイタガ……マア、学生ダカラナ」 「『エカテリーナ宮殿』?」 「壁中ニ金細工ヤ大理石ノ彫刻ダノガ飾ッテアル。壁一面ニ琥珀ヲ張ッタ部屋モアッタナ」 「……見え見えのウソだわ。そんな場所、トリステインの王宮にだって無いわよ?」 呆れた口調でルイズが言う。 「……コノ世界シカ知ラナイオ前デハ確カメヨウノ無イコトダカラナ。ダガソレハイイトシテ……コレハ何ダ?」 ホワイトスネイクが指さした先――床には皿が一枚あった。 どうしようもなくショボいスープと、硬そーなパンが二切れ入った皿だ。 「あんたの食事よ」 「……言イ忘レタガ私ハ食事ヲシナイ。 スタンド本体カラ常ニ供給サレルスタンドパワーガ私ノエネルギーノ源ダ」 「ふーん……ってことはまさか!」 「貰ウベキエネルギーハサッキカラズット、オ前カラ貰ッテイル」 「何でそれを先に言わないのよ!」 「ソレヲ今後悔シテイルトコロダ。 言ッテイレバ……コンナ屈辱ヲ味ワウコトハナカッタノダカラナ……」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……と大気が振動しているかのような雰囲気がルイズを包む。 何十、何百のスタンド使いをその手にかけてきた悪魔のスゴ味を間近で感じて、思わずルイスはたじろいだ。 「で、でも、ご主人様と使い魔の立場の違いを教育するのも……」 「ダガコレハ『アル意味』正解ダッタ。 イイ判断基準ダ……スゴク……イイ判断基準ニナル……」 ルイズの弁解は完全に無視し、言葉の節々に怒りを滲ませながら、ホワイトスネイクは姿を消した。 自分自身を「解除」したのだ。 その長身ゆえに食堂の人目を引いていたホワイトスネイクが突然消えたことで周囲は一瞬騒がしくなったが、 教師が食事の前のお祈りをするよう大声で促すとすぐに静かになった。 「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。……」 お祈りを唱和する生徒たち。 ルイズもそれに加わるが、心中は穏やかではなかった。 (わたし……なんだか、大変なことをしちゃったのかも……) To Be Continued...
https://w.atwiki.jp/r6_s/pages/155.html
ZERO/ゼロ 所属 ROS 本名 サミュエル・レオ・フィッシャー 出身地 メリーランド州ボルチモア 誕生日 8月8日(63歳) 身長 178cm 体重 77kg アーマー ●●○ スピード ●●○ 固有アビリティ アーガスランチャー 破壊可能または補強された壁を貫通するカメラを展開するランチャーカメラは壁の両側を監視でき、レーザーを放つ。 4回使用可 強さ ★★☆ 重要度 ★★☆ + 略歴 経歴 「準備、遂行、撤退」フィッシャー"ZERO"の子供時代については、CIAとサードエシュロンがその大部分を機密扱いにしている。だがそれでも、出生地がメリーランド州ボルチモア郡タウソンであることは判明しており、彼はそこで父方の祖母であるサラに育てられた。その後は軍の寄宿学校に入学し、集中力を身に付け、技術を磨き、命令に従うことや、証拠の隠し方を学んだ卒業後、彼はすぐ合衆国海軍兵学校に入って政治学を専攻し、それからSEALSの訓練に参加している。ペルシャ湾、ボリビア、コロンビア、セネガル、コソボで作戦に従事したフィッシャー"ZERO"は個人的犠牲をいとわず果敢に任務を遂行することで知られるようになった。防衛殊勲章を授かったフィッシャー"ZERO"はその後、バージニア州リトルクリーク海軍基地で教官を務めているそしてCIAに採用された彼は【削除】 性格 サミュエル・レオ・フィッシャー"ZERO"とは初めての対面だったが、伝説の裏に潜む男について、ようやくその正体を垣間見られるという気分だ。自分の功績や能力にひけらかすタイプではないが、その身のこなしや周囲の状況を見極める判断力を目の当たりにすれば、彼の熟達ぶりは明らかだろう。もしこの分析結果を読むことがあれば、彼もきっと同意するはずだ。【...】元エシュロンエージェントについて詮索するのは容易なことではない。彼は集中して話、その議題について語ることがなくなれば、それをはっきりと示す。彼の任務は争いを追い求めることなどではなく、惨事の跡が残る前にダメージコントロールをすることだ。フィッシャー"ZERO"の技術と性分は、プレッシャー下でも彼を冷静な状態に保ち、どんな状況にも備えられるようにしている。エヴァンズやブルンスマイヤーの激しやすい性質を中和する効果があるかどうか、興味のわくところだ。フィッシャー"ZERO"をよく知らない者にとっては(あるいはよく知る者にとっても)、彼の皮肉な物言いは不快に感じられるかもしれない。だがその裏には、思慮深さと細部への注意力が隠されている。彼には人や問題の核心を看破する力がある。我々の訓練プログラムを彼がどう評価し、どんな改善案を出してくるかとても楽しみだ【...】彼は娘のことを話したがらない。だがこれはきっと、わだかまりがあるといった事情ではなく、警告の意味合いが強いのだろう。【削除】(コメント_s.フィッシャー:コーヒーは利点の1つじゃないのか?残りが少なくなってるぞ)-レインボー・ディレクター、DRハリシュヴァ・"Harry"・パンデー 訓練 ・"ザ・ファーム"(バージニア州キャンプ・ピアリー)・高度武器訓練・スキューバ訓練・SAO(戦略航空作戦)資格・HAHO、HALO訓練・クラヴ・マガ訓練(レベル3B/黒帯) 関連分野での経験 ・ジャスト・コーズ作戦・デザート・シールド作戦・スカラベ・トゥース作戦・デザート・ストーム作戦・モーリタニア・セネガル国境紛争・セルヴァ。ヴェルデ作戦・シルバード・スカルペル作戦・サードエシュロン・グルジア情報危機・インドネシア危機/ロサンゼルス国際航空事件・ニューヨーク・サイバー攻撃/東アジア危機・パラディン・ナイン・セキュリティ・フォースエシュロン 備考 デバイス:アーガスランチャーオペレーター:サミュエル・レオ・フィッシャー"ZERO"調査担当者:R Dディレクター、DR.エレナ・アルバレス"MIRA"サミュエル・レオ・フィッシャー"ZERO"は型破りな男だ。常に抜かりのない彼であれば、その装備に同じことが言えても驚きはない。それにしても、いつだって事態を把握している様子なのはどういうことだろうか。その秘密を探りたいと思っている(常にコーヒーを切らさない秘訣についても)アーガスの適応力の高さは驚くべきものだ。我々のカメラでも同じことをするべきだった。補強壁を貫通できるように設計され、成功時には反対側への移動が可能になるというメカニズムは、他のデバイスでも前例がない。無論、反対側に到達できなかった場合も、片側の監視は問題なく行える特に刺激的なのは、レーザーを搭載している点だ。アーガスが壁を突破したタイミングで、絶好の機会が訪れることもあるだろう。であればそのチャンスを逃す手はない。いずれにしても、ZEROがこれをどう使うか楽しみだ。ラボでできることは限られている。本格的なテストは実戦を見るしかない-R Dディレクター、DR.エレナ・アルバレス"MIRA" 装備 メインウェポン ダメージ 装弾数 サブウェポン ダメージ 装弾数 ガジェット 固有アビリティ SC3000K(アサルトライフル) 45 25 5.7USG(ハンドガン) 35 20 ハードブリーチングチャージ アーガスランチャー MP7(サブマシンガン) 32 30 GONNE-6(ハンドキャノン) 10 1 クレイモア - 固有アビリティ 通常の壁や補強された壁、窓、ハッチなど任意の場所に張り付けることができ、カメラを起動すると、攻撃側は、カメラを回転させて壁の向こう側を見ることができます。カメラは、1つ分のレーザーチャージを持っており、防衛側へのダメージや、ガジェットを破壊することができます。 キャッスルのアーマーパネルは貫通可能 1つのカメラでレーザー1つ発射可能 カメラの表裏切り替えとレーザーはゼロのみが操作可能 銃弾で壊せる 破壊痕から反対側は見えない ミュートのシグナルディスラプター、イエーガーのADS、ワマイのマグネットに引っかかる + 初期の仕様 フラググレネードからハードブリーチングチャージに変更。 コメント欄
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1776.html
シルフィードが空の色に溶け込むように大空を舞う。 その背にはタバサのみならずキュルケも同乗していた。 「んー、やっぱり風が気持ちいいわね。ねえタバサもそう思わない?」 「……………」 いつもならタバサも頷いて同意してくれるのだが今日は違う。 彼女の視線はじぃーと私の顔を見続けている。 分かっている、素直になれと彼女は言いたいのだ。 でも、それを口にしたら私が意固地になると分かってて彼女は言わない。 ったく、気心の知れた友達というのも楽じゃないわね。 こっちの考え、全部筒抜けじゃない。 この遠乗りには私がタバサに頼んだ物だ。 学院に居辛かったので気分転換を兼ねて空の旅を満喫している。 目的地も決めずにいたのでタバサにはすぐ勘付かれたようだ。 「分かってるわよ。でも恥ずかしいものは仕方ないでしょ」 フーケのゴーレムとの戦い、それに今回の惚れ薬騒動で彼女には大きな借りが出来てしまった。 どちらも私一人では解決できなかっただろう。 彼女がいなかったらどうなっていたか考えるだけでも恐ろしい。 ゴーレムの時には使い魔の力だと思って、あまり気にも留めていなかった。 だけど今回の事件でハッキリと彼女自身が変わりつつある事を認識した。 ライバルに先を越された悔しさと同時に彼女が成長した事を嬉しく思う。 だけど今までからかっていた相手に助けられたのが恥ずかしくて顔を合わせられない。 複雑と思うかもしれないが、乙女心とはそういうものなの。 そもそも借りを作りっぱなしというのは釈然としない。 貸しを作るのはいいけど逆はダメ。 「こう、パーっと一気に借りを返す機会とか無いかしらね」 「同感」 こくりと彼女がようやく頷く。 彼女も私ほどではないだろうけどルイズに貸しがあるらしい。 お互いの目的が一致し色々とアイデアを検討する。 第一弾、プレゼント大作戦…って前に私達の方が貰ってたわね。 第二弾、貴方の夢叶えます大作戦…って胸を大きくする方法なんて知らないし。 その言葉にタバサも反応を示す。 じとっとした目で見つめるのは私の胸元。 ついでに自分の胸にもぺたぺたと手を当ててる。 そんな顔されても本当に秘訣なんてないってば。 生まれつきよ、生まれつき。 「きゅいきゅい」 突然、シルフィードが何かを見つけたのかタバサに話しかける。 ふと視線を下に向けると疾駆する一台の馬車が目に入った。 装飾の施され様からして乗っているのは高級貴族だろうか。 このままの進路を取ると目的地は魔法学院だ。 勅使であるモット伯ならともかく、そんな所に何の用があるというのか。 それを追跡するようにタバサはシルフィードに指示を飛ばす。 目を丸くする私に彼女が簡潔に説明する。 「アカデミーかもしれない」 「何でそんなのが学院なんかに」 「彼の事を知られた可能性がある」 「っ……! どうやら思ってたよりも早く借りが返せそうね」 唇をきゅっと結び、シルフィードの加速に耐える。 壁のように感じる風圧を受けながら彼女達は学院へと舞い戻った。 「そうか。ようやく決心が付いたか」 「はい。学院長の仰る通り、一度里帰りしてみようと思いまして」 オスマンの前に立つミス・ロングビル。 彼女の手にはやや大きめの旅行鞄がぶら下がっている。 オスマンは休みの期間も故郷の場所も問いはしない。 ただ黙って旅立つ彼女を見送る。 「うむ。故郷で一度、自分の原点に立ち返るのもいいじゃろう。 人は前だけを見て進むのではなく時折立ち止まり振り返る事も必要じゃ。 自分の歩んできた道、そして歩みべき道を見失わないようにな」 「……ええ、そうですわね」 何か過去の傷に触れてしまったのか。 餞別代りの言葉を聞いて彼女の表情が曇る。 それをはぐらかす為に下ネタを振ろうとしたが咄嗟に思い付かず、 気付けば彼女は既に扉に手を掛けていた。 「それでは失礼します」 「良い旅を」 結局は他愛も無い挨拶で幕を閉じた。 まあ、これが今生の別れではない。 もし彼女が帰ってこなくても、それはそれだ。 彼女が帰るべき場所を見つけたのならここにいる必要は無い。 新たな旅立ちを祝福すべきなのだ。 「ああっ、でもあの乳と尻が別の男のものになるのはイヤじゃな…」 旅行から帰ってきたコルベールは自分の研究室に篭りっきり。 一人寂しく悶々としていたオスマンは今度モット伯に頼み込んで、 『異世界の書物』を見せて貰おうかと本気で悩んでいた。 白紙の祈祷書、白紙のノート、ついでに私の頭の中も白紙。 詔なんて何も思い浮かばない。 勉強なら自信はあるんだけど詩や文学には疎かった。 モット伯やタバサなら簡単に浮かぶのだろうか。 ギーシュもやたらと歯の浮く台詞を言えるから得意そうだし。 ちょっと参考代わりに聞いてみようかな。 …ダメ、ダメよルイズ。まだ婚姻の事は公にされていない。 そんな事を聞いて知れ渡ったら私の責任だ。 それに、これは姫様立ってのお願い。 だから私がやり遂げなくちゃいけないんだ。 しかし、勢い込んで見たものの前途は闇。 まるで見通しが立たないというのは最悪というべきだろう。 私がそんなだからか使いの魔の顔もどこか憂鬱に見える。 その時、トントンと扉を叩く音が響いた。 全く…こんな時間に誰よ。 人がせっかくやる気を出したというのに妨害するなんて、このモチベーションの高まりをどうしてくれるのよ。 そんな言い訳じみた事を考えながら扉を開いた。 その時点でよく考えるべきだったのだ。 私の知り合いにノックをするような常識人はほとんどいないって事に。 開けた視界の前にはフードを被った二人組の姿。 どこかの押し込み強盗かと疑ってしまうような風体に顔を顰める。 「久しぶりね、ルイズ」 しかしフードの下から出てきたのは花も綻ぶような笑顔。 それを見間違える筈など無い。 幼き日を共に過ごした友であり自分の主である人物、アンリエッタ姫殿下を。 「ひ、ひ、ひ…姫様ーー!!?」 「ああ、ルイズ。会いたかったわ」 アンリエッタにとっては唯一ともいえる親友との再会。 その感動的な再会はバタンと閉じられた木造の扉に遮られた。 「ル…ルイズ、一体どうしたというのですか? ここを、ここを開けてください」 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ! まだ出来てないんです、でも期日中には間に合わせますからっ!」 「違うの。今日はその事ではなくて…」 「全く出来てないって訳じゃないんですけど。 でも、今出来ている分だけでも見せろと言われても困るんですっ!」 「だから違うの! お願いルイズ、話をちゃんと聞いて!」 トントンと叩いていたノックの音がドンドンと重く変わる。 その音に怯え室内から扉を押さえつけるルイズ。 話がまるで噛み合わない光景に溜息を漏らしアンリエッタの従者が動く。 フードを取り払い短く切り揃えた短髪を靡かせる。 「姫様。お下がりを」 「あ、アニエス。あんまり乱暴な事は…」 アンリエッタの顔には明らかな怯えがあった。 未だに収まらぬルイズの弁明にアニエスは限界気味だった。 扉が開かない事よりも彼女はルイズの安全を優先したのだ。 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさ……」 「ええい、やっっっかましいィィィ!!」 しかし彼女が言い終わる間もなくアニエスは扉を蹴り飛ばす。 火薬で吹き飛ばされたように開け放たれる扉。 その威力の前には彼女程度の重しなど台風の前のぬいぐるみ。 抑え付けていたルイズが部屋の端までゴロゴロと転がって倒れた。 「……きゅう」 「だ、大丈夫? ルイズ」 目を回しているだけなのか、それとも頭を打ったのか。 倒れたまま起き上がろうとしない彼女の下にアンリエッタが駆け寄る。 ゆさゆさと揺するものの反応がない。 それはルイズの睡眠不足が故なのだが彼女はその事を知らない。 あわや感動の再会が悲劇の別れになるかと困惑する。 彼女が期待していたような感動の再会は完全に台無しだった。 突然の侵入者に彼が慌てふためく。 何しろ周りには悪意の匂いがまるでしなかったのだ。 それで無警戒だったのだがルイズは吹き飛ばされ部屋に踏み込んできた。 とりあえずルイズや自分に危害を加える様子はないようだが…。 念の為にもう一度匂いを確認する。 ちょっと鼻先にドレスの裾が当たってむず痒いんで前足で除けて、と。 「きゃっ…!」 「何をしておるか! このエロ犬ッ!」 「きゃうん!」 瞬間、首根っこを上から抑えつけられ潰された。 床に張り付けにされたまま、彼女達の匂いを嗅ぎ続ける。 二人とも悪意はない……無い筈なんだけどこのアニエスって人、ちょっと怖い。 「姫様。念の為にこの部屋にサイレントを」 「は、はいっ!」 ディテクト・マジックで監視の有無を確かめ一息ついたアンリエッタにアニエスが指示を飛ばす。 本来は主であるべきアンリエッタがアニエスに従う異常な光景。 人の良さ故か、それとも目の前の光景が余程恐ろしかったのか。 恐らくはその両方だろうとデルフは思った。 それよりも姫様がここに来たって事の方が遥かに重大だ。 いくら親友に会う為とはいえ、王宮を抜け出してくるなんて有り得ねえ。 ましてや婚姻を前にした重要な時期にだ。 (なにやら雲行きが怪しくなってきやがったぜ) 「お久しゅうございます姫殿下」 膝を付き頭を下げ恭しく礼をするルイズ。 その傍らには頭を押さえつけられて伏せられた彼の姿。 親友の跪く姿を見てアンリエッタが動揺する。 「止めてルイズ! 私たち友達じゃない、そんな堅苦しい行儀なんて必要ないわ」 「しかし姫様」 「まあ今更体裁を取り繕った所で意味はないかも知れんがな」 先程の光景を思い出してかアニエスがふふんと笑う。 アンリエッタの横に立っているアニエスからルイズは見下すような視点になる。 別に彼女に傅いている訳ではないのだが何故か無性に腹が立つ。 本当なら平民と公爵家では同じ空気を吸う事さえ許されない程の差があるというのに。 もっともルイズは権力を振るかざすつもりは毛頭ない。 すくと立ち上がると彼女を指差しながら問う。 「うるさいわね。何でアニエスが姫様と一緒にいるのよ?」 「あ、彼女はマザリーニ枢機卿から私の監視役として…」 そこまで口にしてアンリエッタはハッと気付いた。 「どうして彼女の名前を知ってるの?」 「う……」 実はですねー、私、違法な魔法薬を盗み出してる所でアニエスと会ったんです。 その時、男の子の格好してたから分からないと思うんですけど。 あ、その時一緒にいたモット伯は脅して共犯者にしました。 …そんな事、言える訳が無いでしょうが!! 百年の友情も一瞬でブッ壊れます。 今後は敬語で話しかけてくださいねと笑顔で言われかねない。 ある意味、その方が気楽かもしれない。詔も考えなくて済むしね。 「ルイズと知り合いだったの?」 「いえ、私には覚えがありませんが」 突然、言葉に詰まったルイズから今度はアニエスに振る。 彼女はルイズをよく観察し思い起こしながら答える。 しかし、どこか引っかかる物があるのか顎に手をやって悩む。 「ああ、町でちょっと見かけたのさ。派手にやってるって噂になってたからな」 それを遮ったのはデルフの一言だった。 この場には他に誰もいない状況で突然響いた声にアニエスの警戒心が高まる。 しかしカタカタと鍔元を鳴らす剣の姿を認めると彼女の気配が和らぐ。 そして、それを確かめるようにデルフに語り掛ける。 「インテリジェンスソードか?」 「おう。デルフリンガー様だ、よろしくな。 ところで姉ちゃん。一つ聞きたいんだが裏路地寄りにあった武器屋、知ってるか?」 「剣如きに姉ちゃん呼ばわりされる筋合いはない。 それに、そんな場所に武器屋など無かった筈だが?」 「ありゃ、じゃあ潰れちまったかな」 もしくは親父が夜逃げしたかだ。 前に何度か貴族相手に名剣だってホラ吹いて観賞用の剣を売り飛ばしたからな。 査察が入ってたら捕まっているかもって思ったんだが。 まあ、殺したって死ぬようなタマじゃねえか。 不思議な質問にアニエスが首を傾げる。 それを見ながらルイズは心の中で親指を立てた。 (ナイス、デルフ!) 完全に話題は別の物に切り替わった。 もはやアニエスが思い出す事は無いだろう。 だが念を入れて最後の駄目押し! 「姫様。一体何があったんですか!?」 ルイズは自ら本題を切り出した。 いくらなんでも姫様が自分に会う為だけに来る筈が無い。 何かしらの相談や悩み事があると見るのが普通だろう。 それが分かるぐらいにはルイズは大人になっていた。 その言葉でアンリエッタの表情に僅かに浮かぶ喜色。 しかしそれを押し込めるような仕草をした後、彼女は決心して口を開いた。 「ルイズ、私を助けて!」
https://w.atwiki.jp/zeromoon/pages/60.html
前ページ次ページゼロの白猫 幾度もの失敗の果てに、爆発して巻き起こる煙が晴れた後に鎮座していたのは。 猫だった。 「や、やった! 遂に使い間の召喚に成功したわよ!」 「「「な、なんだってーーー!?」」」 ころしてでもうばいとる。 という考えがルイズを取り巻く生徒たちの頭に浮かんだかどうかは第三者にとっては定かではない。ぶっちゃけどうでもいい。 まあそんな考えが浮かんだ可能性はゼロといっていいだろう。ハルゲギニア大陸のトリステイン魔法学院の生徒たちは皆使い魔の召喚に成功し、ただ一人残ったルイズの度重なる召喚失敗に飽き飽きしてもう帰りたいと思っていたところなのだ。 兎に角、ヴァリエール公爵家が三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは『サモン・サーヴァント』に成功したのだ。 「何度も……何度も失敗したけど、こんな綺麗な白猫を……!」 利発そうな子猫だった。 小さいながらもきりっとした体躯はどこか気品のようなものすら感じられる。見るからに手触りの良さそうな真っ白い毛並みに瞳だけがルビーの様に真紅だ。そして首に巻かれたこれまた白いリボン…… 「……リボン?」 そう、白猫の首には野良猫にはない、誰か人間に着けられたと思しき白いリボンが巻かれていた。 「なんだよルイズ! 呼んだのは何処かの誰かの飼い猫かよ!」 「うぅううるっさい! 例え誰かの飼い猫だろうと私が呼んだからには私の使い魔なの!」 「……ちょっと失礼しますよ、白猫さん」 ひょい、と頭部の寂しいコルベール教師が白猫を持ち上げる。その際じたばたと白猫は暴れたが、コルベールは力づくで抑え込んで全身をくまなく視姦する。 「……大丈夫のようですね。この猫には使い間のルーンはありません。誰かの使い魔ということはないようです。ミス・ヴァリエール。どうぞ契約の続きwぁいたぁ!」 噛み付き、猫爪、後ろ回し蹴りのコンボが鮮やかに決まる。猫好きの皆さんならお分かりだと思うが、猫の爪の鋭さは馬鹿にできない。血が出ます。 お怒りの白猫(雌だった)は華麗な連激を決めると、とっとと捕獲者の腕から離脱する。そのまま遠くへ走り出しそうな白猫をあわててルイズは捕まえる。 「ま、待ちなさい! まだ『コントラクト・サーヴァント』が終わってないっての!」 危なかった。ちい姉さまこと、カトレアになついていた猫に逃げられた経験がなかったらルイズも逃走を許していたかもしれない。召喚しておきながら契約せずに逃げられました、なんて笑い話にもならない。 『サモン・サーヴァント』で自分に相応しい使い魔を召喚、そして『コントラクト・サーヴァント』で呼び出した使い魔と契約する。この二つを経て召喚の儀は完成するのだ。 この使い魔の召喚、契約は失敗できない。しくじれば問答無用で留年の運命まっしぐらなのだ。猫だけに?更にルイズにとっては自分の不名誉な渾名を払拭する絶好のチャンスでもある。必ず成功させねばならかった。 興奮して鼻息も荒いルイズだが、そんなルイズに両腋から持ち上げられた白猫は、意外にもおとなしくしていた。ただじっとルイズを見ていた。真っ赤なその眼で、まるでルイズを吟味するかのように。 そんな猫の瞳に違和感を覚えるルイズだったが、ちんまりとした猫の愛らしさ、しっとりさらさらと滑るような手触りの滑らかさ、何より生まれて初めて魔法が成功した歓喜には些細な事と、いざ使い魔との契約に臨む。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 契約の呪文を唱え、白猫のω口へ唇を付ける。ノーカウントのファーストキスの感想は、猫の鼻って湿ってるな、だった。 「……」 その間、ずっと猫はおとなしくしていた。が、しばらくしてばたばたと暴れ、ルイズの手から逃れてのたうち回る。使い魔のルーンが体に刻まれているのだろう。直接体内に呪を書き込むので対象にはそれなりの痛みが走るのだ。 「……ッ!」 ようやく治まったのか、白猫がふらりと体を上げる。白猫の胸部には使い間の証のルーンが確かに刻まれていた。 「ふむ、珍しいルーンですな」 白猫の攻撃から立ち直ったコルベールは白猫の胸のルーンを興味深げに眺め、さらさらと書き留める。猫は突然の激痛に警戒を強めたらしく、尻尾と全身の毛を逆立たせてコルベールやルイズを睨んでいる。 「痛かったのは分かってるわよ。でもそういうものなんだからしょうがないじゃない」 悪いと言いつつも謝罪の言葉を述べないのは貴族の気高さ、あるいは傲慢さからくるものか、はたまた彼女の気性故か。 「さて、これで全員無事に使い魔の召喚が終わりましたな。みなさんご苦労様です。では、これにて解散!」 コルベールの終了の合図で生徒たちは「ようやく終わったか」という安堵の元、ふわりと浮いてそれぞれの部屋へ向かっていく。そんな生徒たちを白猫はただでさえ大きい瞳を真ん丸にして、ルイズへの怒りも忘れたように見つめている。何か驚くことでもあったのだろうか。 「さあ、私たちも行くわよ」 そう言ってルイズはひょいと白猫を持ち上げ、両腕を胸の下でしっかり固定させ、その上に猫を乗せる。腕と胸で作られた簡易ベッドだ。猫は自分の体をべたべた触られることを習性として好まない。そんな猫をおとなしく運ぶためにカトレアが行っていたのがこの抱き方だ。 このやり方なら猫に触られることに対する不快や警戒感を抱かせることは少ない。抱いている方は猫を撫でることはできないが、かりかりと喉や頬を掻いてやることはできる。 抱き方が功を奏したのか、ひとまず腕の中で白猫はおとなしくしている。すたすたと自室に向かうルイズの腕の中で、白猫は両目に二つの月を写していた。 「さて、私はルイズ! ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ! まずはあんたの名前を決めないとね!」 使い魔の召喚と契約が成功して――ルイズにとっては生涯初の魔法成功である――上機嫌のルイズが部屋に入って宣言する。 「どんな名前がいいかしら? 白いからシロ……じゃ安易すぎるわね、なんか犬っぽいし。じゃあヴァイスとか? でもなんか雌向きじゃない響きね、コレ。いっそ赤い目だしルビーとかスカーレットとか言うのもいいかも……」 現在のルイズの状態を形容すると、まさに有頂天と言う言葉が当てはまるだろう。懸命に自分の使い魔を名付けようとするルイズだったが、その時ふとこの猫が何処かの飼い猫である可能性を思い出した。 「リボンに名前とか書いてないかしら?」 首に巻かれたリボンを調べてみるが、名前はおろか飼い主の手がかりになりそうなものも何一つなかった。 (ひょっとして捨て猫とか?でもこんな可愛い猫を捨てたりするかしら……) しばらく思案したが、結局結論は使い魔の契約を交わした以上、飼い主の元に戻してやることはできないだろう、ということだった。 「いい? あんたが何処の飼い猫だったかは知らないわ。でも私の使い魔になったからには今までのことはスパッと忘れて私のために働いてもらうからね!」 盗人猛々しいとも取れるこの発言に白猫は半眼で主人を見つめている。 「うーん、名前どうしようかしら。寝る前に名前だけでも決めときたいんだけど……」 何故か猛烈な眠気がルイズを襲っていた。失敗とはいえ魔法を相当使い続けたことと、初めて呪文が使えた興奮から来た疲れだろうか、と思いながらルイズはベッドに腰掛け、そのままくたりと横になってしまう。 「だめよ……だめ駄目……この猫に立派な名前をつけてあげるんだからぁ……」 ベッドの柔らかさに受け止められて夢の中へ旅立とうとしている少女は、 (そんな事考える必要はないわ。私にはちゃんと名前があるもの) と、聞いたことない誰かの声を利いた気がした。 「……ここ、ドコ?」 ルイズがまず発した一言だった。 トリステイン魔法学院の自室のベッドにいたはずが、気がついたら白一色の世界に立っていたのだ。呆然とするのも無理はない。 そこは雪原だった。見渡す限り純白の世界。遠くには木々が生えているが、これまた雪に覆われている。ルイズの後ろには自身が示してきたと思しき足跡のみが続いていた。 だがその足跡は地平線から続いており、どこから自分が歩いてきたのか、どこまでこの雪原が続いているのか見当もつかない。そもそもルイズには歩いてきた、という実感すらないのだが。 雪があることから現在地がアルビオンということも考えたが、その仮説は空を見上げたときに粉砕された。 天頂にかかる月が『一つしかなかった』のだ。 ルイズの、いやハルケギニアの世界において空の月は二つである。天空の月が増えたり減ったりするなど聞いたこともない。ありえない状況が重なりすぎ逆に冷静になるルイズの頭の中で、これらの状況を全て説明できる答えが浮かんだ。 「そっか、コレ夢なんだ」 「ええ、その通りですわマスター」 独り言に答えを返されぎょっとして声のした方を向く。 いつの間にか、この雪原と同じ色を纏った幼女が立っていた。 外見からして年齢は10歳前後といった所か。身長はルイズより10サントは低い。しかしてその体つきに反し、幼いその顔に浮かぶのは妖艶ともとれる、妖しい大人の表情だった。 上から下まで白一色の上着と靴下、ブーツに、上着の下の肌着と一体となっているスカートのみが黒。頭には大きなこれまた白いリボンが付けられており、胸あたりまでの長さの銀色の髪を彩っている。その髪から覗く三角形の耳。 「え、エルフ!?」 人間よりも長い尖り耳はエルフの代表的な特徴。そして人間とエルフの関係は極めて悪い。白い幼女の尖った耳に気づいたルイズは警戒態勢をとり、いつの間にか手にした杖を向けていた。そんなルイズの様子を幼女は冷めた目で見つめていたが、 「貴方が言うエルフがどんなものなのかは知らないけど、私は夢魔よ。エルフじゃないわ」 と答えた。 「む……夢魔? それにさっきマスターって……」 エルフではないと言われて少しだけ落ち着いたのか、ルイズは目の前の幼女に言葉を投げる。その言葉を受け取った幼女はスカートの両端を摘んで広げ、恭しく一礼した。 「この姿では初めまして、マスター。私、夢魔のレンと申します。以後お見知り置きを。今宵お互いのことをよく知るためこの席を設けさせていただきました。急なお呼びだしになったことをお許し下さいまし」 その発言に、ルイズは混乱している頭を何とか整理して会話を繋げる。 「夢魔……って言ったわね? ってことはこれは、夢? あんたがこの世界……っていうか夢を作ったって言うの? あとマスターってなによ? 私は夢魔の主人になった覚えなんてないんだけど」 「まあ冷たい。自分の方から接吻しておきながらその言い分は傷つきますわ」 「は? 何訳分かんないことを……」 言っている内にルイズは気づいた。 この幼女――レンといったか――の白一色の容姿に紅い瞳。更にルイズから口づけしたと言い、自分をマスターと呼ぶ存在。これらのことを総合すると、思い浮かぶのは。 「あ、あんた……まさか」 「お察しの通り。先程貴方に胸にルーンを刻まれた白猫で御座いますわ」 うっすらと笑みを浮かべながらレンはルイズに答える。 だがルイズはその笑みを見てもちっとも安心することはできなかった。レンが浮かべている笑みは暖かみがある笑みではない。逆に向けられた者に警戒心を抱かせる類の笑みだった。 「さっきはとっても痛かったわ。呼び出した相手に了承も問わず問答無用で体にルーンを刻むんだもの。なんて非常識。まあ別世界なら互いの常識が食い違うのかもしれないけど」 「いや、それはしょうがないじゃないの。痛かったのは悪かったと思ってるけど……別世界って何よ?」 「今言った通りよ。私は月が一つしかない世界から来たの」 上を指さしながらレンは言う。その先には先程見たとおり、一つだけの月が鎮座しており、雪原を淡く照らしていた。 「いや、これはあんたが作った夢なんでしょ?なら月を増やしたり減らしたりできるんじゃないの?」 「面白いことを考えるのね。けど今いる世界は私の世界よ? 苦労してわざわざ月の数をいじる必要が全くないわ。私の世界に矛盾を作っても居心地が悪くなるだけじゃない」 「だけじゃない、といわれても……分かんないわよ」 「それに貴方達、さっき何の臆面もなく魔術を使ってたじゃない。空を飛ぶ、なんて目立つことを何の躊躇もなく。私が居た世界ではあり得ないわ」 「はぁ? なんで魔法を使うことを躊躇しなきゃいけないのよ? あと魔術じゃなくて魔法よ、ま・ほ・う!」 「そう言う発言があるからここは別世界だと分かるんだけど……。あ、貴方は確かに魔法使いと言えるのかもしれないわね」 何がおかしいのかレンはくすくす笑っているが、ルイズにとっては何を言っているのかちんぷんかんぷんで、誉められているのか貶されているのかも分からない。レンは一応誉めているようだが。 「ところで、いつまでその格好でいるの? 立ったままというのも何だし、座りなさいな」 レンはそういって傍にあった椅子に腰掛ける。ルイズは仰天した。つい先程まで確かにそこに椅子など無かったからだ。 「あ、あんたその椅子どうしたの!?」 「座りたかったから出しただけよ。驚くことじゃないでしょう? ここは夢の中なんだから。貴方だって必要なときに杖を出せたでしょう?」 そう言ってルイズにも椅子を勧めてくる。この椅子の出現もルイズは知覚できなかった。釈然としないながらもレンと向かいあって座る。 レンは椅子の肘掛に左腕を置き、右肘を立てて右手に顔を乗せ、右脚を大きく回して足を組む。組んでいる最中もルイズから下着が見えたりはしない。絶対領域である。 正に悪女のポーズだが、見かけと性格が比例していないこの幼女は恐ろしくサマになっている。しかしまるで使い魔らしくない。この態度ではどちらが主人かわからないではないか。憮然とするルイズが何かを言う前にレンが先に話しかける。 「それで……ええっと、ルイズだっけ?」 「そうよ。って様を付けなさいよ使い魔」 「覚えてたらね? それで使い魔と言っているけど、貴方は私に何を望むの?」 「そうね、使い魔は主人と一心同体の存在よ。まず主人の目や耳の代わりとなることができるわ」 「感覚の共有ね。こんな感じかしら?」 レンが何かを呟くと、いきなりルイズの右目にルイズ自身が写った。 「こ、これってレンの!?」 「ええ、私が見ている物よ」 自分の視界が左右異なっている事実に驚愕しながら喜ぶルイズ。だから、自分がレンと視界を共有したのではなく、レンが自分と視界を共有させたという事実にこの場で気が付くことができなかった。 「やるじゃない!さすが私の使い魔ね! 他には、マジックアイテムの原料になる苔とか、硫黄とか、もしくは秘宝とかを見つける能力を持った使い魔も居るわ」 「そういうのは専門外ね。ルイズの魔術は『作ること』が得意なの?」 「……いや、そういうわけじゃないけど」 「なら不要ね。良かったじゃない」 「……まあそうなんだけど」 ルイズの場合、作ることに特化していないだけではないことが問題なのだが。その部分は誤魔化して次の質問を出すルイズ。 「後は主人の身を守ることよ。これが使い魔にとって一番の役目となるんだけど……」 ルイズはレンをじっと見つめる。自分より身長も体の起伏も小さい幼児体系の使い魔。とても力が有りそうには見えない。 まして猫の時ではメイジはおろかその使い魔にさえあしらわれるだろう。それでも一縷の望みを託して聞いてみる。 「レン、あんた戦う事ってできる?」 「余り得意じゃないわね。前に仕えてたヤツは護衛なんて必要ないスペックを有してたし」 「……やっぱり、元の主人が居たのね?」 レンに別の主人が居たことを確信し、予想していたとはいえルイズの顔が曇る。レンが首に巻いていた、人間の姿の今は頭につけているリボン。 あの装飾品は以前に別の主人が居たことの証明だったのか。それなら自分はこの使い魔と主人の中を引き裂いてしまったことにならないか―― 「居たわ。三行半叩き付けてやったけど」 「へ?」 「そしたら腹いせとばかりに追ってきて。逃げてる途中で鏡みたいなのにぶつかったら貴方の前に出てきたわけ。いいタイミングだったわ」 「ええ?」 「私としては紳士的な男性が新しい理想のマスターだったんだけど、危ないところを助けてもらったようだし。使い魔の契約を了解したわけ」 「……」 三行半、というのがルイズにはよく理解できなかったが、つまり前の主人とは仲違いした、ということだろうか。 「ええーっと……その、前の主人のことはほっといていいわけ?」 「全く問題ないわ。元々契約だけで仕事なんて無かったもの。流石にあのバケモノも異世界へ渡る術なんて持ってないでしょうし、宝石の老体の助けでもない限り追ってくることもないでしょうね。それで、いつまで使い魔の契約は続くの?」 「私かあんたのどちらかが死ぬまでよ」 「一生ものの契約、ね。死ぬ意外に解く方法は?」 「無いわよ。解除の呪文なんて無いわ」 「……そうなると、召喚した者を召還する魔法も無い、なんてオチ?」 「ええ、そうよ」 この答えにレンは考え込む様な仕草をする。そんな様子に気づいているのかいないのか、ルイズは話を進める。 「とにかく、私の使い魔になったんだから帰るなんて事は良いでしょう? その怖いご主人様にも会わなくてすむんだし」 「……確かにあの怪物には会いたくないけど、もう向こうに戻れないというのはちょっとね。アイツとの決着も付いてないし。本当に元の世界へ帰る方法は無いの?」 「だから無いってば。第一別の世界から来たっていっても信じられないわよ」 ルイズにしてみればレンの言うことは突拍子もなく、すぐに鵜呑みにすることは不可能だった。 この使い魔は恐ろしく珍しい種族であると言うことは理解できたが、月が一つしかない世界から来た、と言われても信じられるわけがない。 自分が育ってきた世界の常識を捨てて『はいそうですか』と言えるルイズは思考停止しているわけでもなく、また頭が柔らかいわけでもなかった。 そんなルイズの言い分に、レンは一つ溜息をついて話を続ける。 「……分かったわ。とりあえず行く当てもないし、契約もしてしまったし、貴方の使い魔になってあげる」 「何であんたが偉そうなのよ。ご主人は私でしょうが!」 「その代わり、ルイズ」 「だから主人を敬いなさいっつーの!」 「短気ね、それじゃ一人前のレディには程遠いわよ?」 「あんたねぇぇぇえ!!」 「落ち着きなさいったら。とにかく、貴方の使い魔になるし、仕事もやってあげる。けど、その代わり貴方も主人としての役割を果たし、私を養うこと。それと私が元の世界へ行き来する手段を探すこと。これが条件よ」 「だからそんな方法聞いたこと無いってば」 「貴方が知らないだけで他の人が知っている可能性もあるでしょう? 兎に角調べなさい。でないと……」 「でないと、なによ」 聞いてくるルイズに、レンは目を細め、唇を三日月のように歪め、囁く。 「吸 い 尽 く す わ よ」 なにを、とは聞けなかった。いや、分かってしまった。何を、ではなく、何もかも吸い尽くす。後に何も残さない気なのだ、と。宣告されたとき、直感で分かってしまったのだ。まるで蛇ににらまれた蛙である。逆らっても無駄な、圧倒的なナニカ。 今更のようにルイズは思う。ひょっとして目の前のこの幼女は、自分の想像もつかないほど恐ろしい存在なのではないか……!? 「……あ」 声が出ない。悲鳴を上げることもできない。まして呪文を唱えることなんてできない。そんなことをしたが最後、一瞬でルイズの人生は終わる。助けを呼ぼうにも、ここは夢の中だという。そんな所で誰が助けに来てくれるというのか――― 「ちょっと、別に今吸おうとしてるわけじゃないわよ? こんなので怖がってたらこの先やっていけないわよ?」 プレッシャーが霧散した。 レンはくすくすと笑っているが、ルイズはそれどころではない。全身を冷や汗が伝い、体温が明らかに下がっている。 ルイズはようやく理解した。こいつは危険だ。夢魔、といっていたがそのとおりだ。魔性の存在だ。しかも今になるまでそのことを悟らせなかったのだから始末が悪い。その辺りはルイズの人生経験が足りないせいかもしれないが。 「……わ、わかったわよ、明日から先生達に聞いてみるわ」 「結構。正式に契約成立ね」 その言葉と共に辺りが薄暗くなってゆく。驚くルイズだが、ぼやけていく世界の中ではうまく行動できない。 「安心なさいな。目が覚めようとしているだけよ。それではごきげんよう。起きたらまた貴方の部屋でお会いしましょう」 「ちょ、ちょっと待っ―――」 ルイズの制止の声は、世界と共に暗闇に呑まれてしまった。 前ページ次ページゼロの白猫
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2394.html
18話 「間違エタ」 真っ黒焦げの自室で悲鳴を上げて起き上がったルイズへの、 ホワイトスネイクの第一声がそれだった。 「ま、ままま、まま、間違えたですってえええええ!!?? 何なのよさっきのは!? どう考えても間違えて出てくるようなものじゃなかったわよ!!」 「前ノ世界デラングラーヲブチノメシタヤツダ。 私モ記憶デ見テビックリシタヨ。アイツ、アンナニブン殴ラレテマダ生キテタンダナ。 後遺症ガ残ッタトカ言ッテタガ、ヨクソノ程度デ済ンダモノダ、ハハハ」 ハハハ、とは言ったが、顔はまるで笑っていない。 棒読みそのものである。 誤魔化す気さえ感じられない。 「ははは、じゃないわよ! あああ、あんたは、またご主人さまをバカにしてええええ!!」 「待テ待テ、私ダッテ間違イハアルンダ。 一回グライハ大目ニ見ルベキジャアナイノカ?」 顔色一つ変えずに言うホワイトスネイク。 ここまで反省の意思が微塵も感じられないヤツもそうはいまい。 「うぅぅ~~~~……あんたってやつは、あんたってやつは~~~~……」 頭から湯気を上げて怒るルイズ。 だが、と冷静な部分が考える。 例えばここで―― 「もう許さないんだから!! あんたなんか、あんたなんかぁーー!!」 などと言って、杖を抜いたらどうなるか。 アイツはわたしの杖をあっさりと奪うかへし折るかして、 「器量ノ狭イオ嬢サンダ。ソンナノデハ『立派なメイジ』ニハナレナイナ」 ――とか言って私をバカにして、またどこかへ消えてしまうに違いない。 怒ったわたしを軽くあしらってバカにする気でいるのだ。 だから、ここで怒ればアイツの目論見取りになる。 それはすごく気に入らないことだ。 怒るのはダメだ。 ここはご主人さまの寛大さを見せるところよ、ルイズ! そう言い聞かせて、ルイズはかまどの上の鍋みたいにカンカンになった自分の頭を、深呼吸でゆっくりと冷やした。 「そそ、そうね! い、一回失敗したぐらいで使い魔を折檻するのは、す、少し大人げなかったかもしれないわ! だから、も、もう一回あんたにチャンスをあげる! い、いい、いいこと? 次は無いわよ! 今度こそ、今度こそ成功させなさいよ!」 怒りに震える声で、なんとか言いきった。 「コレハコレハ、寛大ナ処置ニ涙ガコボレソウダ」 だがそれを心にもない言葉で茶化すホワイトスネイク。 ルイズはまた怒りの沸点が上昇しかけたが、なんとか堪えた。 「デハ、再生開始スル部分ヲモウ一度探ソウ」 ホワイトスネイクはルイズから受け取ったDISCを額に挿す。 そして先ほどと同じように、しばらくしてからDISCを抜き取った。 「今度ハ間違イハ無イハズダ」 「ほほ、本当に? 本当の、本当に?」 「本当ダ。ソレトモ何ダ。ビビッテルノカ、ルイズ?」 まったく、まったくこいつは! 口に出して叫びたいのを喉までで留めて、ルイズは再びホワイトスネイクの手からDISCをもぎ取った。 DISCを見つめて、深呼吸3回。 心を落ち着けて、そっとDISCを額に挿し込んだ。 (どこかしら、ここ……トリスタニアのどこかかしら?) それが最初に移った暗い路地を見たルイズの感想だった。 トリスタニアはトリステインの首都であり、ルイズもしばしば足を運ぶために街並みに見覚えがあったのだ。 (でもなんか汚いわね……それに街灯もないし。多分裏路地だわ。) そして路地の様子から、タチの悪い連中が集まる裏路地であることを推測する。 DISCはしばらくの間裏路地を歩くラングラーの記憶を映し続けた。 突然、何人かの男がDISCに映る。 どいつも手に得物を携えており、物騒な目的を持ってラングラーの前に現れたのは確実だった。 『へへへ……テメーに恨みはねえが、死になぁッ!』 そう言うや否や、先頭の男が襲いかかり――赤ペンキがぶちまけられた。 (へ?) ルイズには最初、そのようにしか見えなかった。 次第に赤ペンキに赤くない、何かドロドロしたものが混じっていて、それは男の頭から流れ―― そこまで理解したところで猛烈な吐き気がこみ上げる。 もはや記憶を見るどころではない。 無理やりにDISCを引き抜くと同時にお腹の中身がひっくり返って、喉の奥から何かがせり上がる。 そして、一気に吐き出した。 朝食べたものも、昼食べたものも、消化しきらなかったものは全部胃液と一緒に出て行った。 「……あ、あれ……?」 ふと、ルイズは自分が洗面器の上に吐いていたことに気づく。 洗面器など事前に用意していなかったから、てっきり床の上に盛大にやったものだとばかり思っていた。 「ヤハリ、ヤッタカ」 そこに声がかかる。 ホワイトスネイクの声だ。 「あ、あんた……こんな『記憶』だって、知ってて、わたしに……」 「申シ訳ナイトハ思ッタガ、物事ニハ順序ガアル。 今ノスプラッターシーンヲ超エタトコロデ雇イ主ガ出テクルノダ」 ウソである。 ラングラーとその雇い主が話し合っているシーンは、それだけのものとして十分成り立つ。 つまりこのスプラッターシーンを無理して見る必要なんて全くないのだ。 「あ……そうなの」 「チナミニ今ノシーンハラングラーガ放ッタ弾丸ガ男ノ頭蓋ヲ撃チ抜キ、 大量ノ血液ト一緒ニ脳ミ」 「ストップストップストップ!」 「ココカラガイイ所ナノダガ」 「やめて……また気分が悪くなりそうだから」 そう言って、震える手で床に転がるDISCを拾う。 「マタヤルノカ?」 意外そうにホワイトスネイクが聞く。 「あ、当り前でしょ……わわ、わたしの、こ、事、なんだから……」 そう言って、ルイズは再びDISCを額に挿した。 そしてその日の晩。 いつもルイズたちが朝食を食べるアルヴィーズの食堂の上階が、華やかに飾られたホールになっていた。 フリッグの舞踏会はすでに始まり、思い思いに着飾った生徒たちが、豪華な食事の前で歓談している。 その中に、キュルケとタバサの二人はいた。 キュルケは何人もの男の子からダンスを申し込まれていて、 一方のタバサはダンスなどには目もくれずに御馳走を食べている。 だがそこにルイズの姿はない。 では、どこにいたかというと…… 「……ここは?」 「医務室ダ」 「……何で医務室なの?」 「3回ホドゲロシタ後に卒倒シタノサ。 覚エテイナイノカ?」 医務室のベッドの上にいた。 ベッドの脇の椅子にはホワイトスネイクがいる。 「あんた、よく医務室の場所なんて知ってたわね」 ふと疑問に思ったことが口に出た。 「ギーシュノ記憶カラ知ッタノダ」 「……どういうことよ?」 「簡単ナ話ダ。 DISCヲ見ルッテ事ハ、ソレノ本来ノ持ち主ノ記憶ヲ追体験スルコトナノダ。 ダカラギーシュガ一度デモ医務室ニ行ッタコトガアレバ、 私モソコヘドーヤッテ行ケバイイカ分カルッテワケダ。 原理トシテハ、オ前ガラングラーノ殺シヲ追体験シタコトト何モ変ワラン」 「便利なものね」 それだけ言って、ルイズはため息をついた。 「タメ息ノ多イ日ダナ」 「今日だけじゃないわ。 あんたが来てから増えたのよ」 「ソイツハ残念ダ」 「反省する気がないのは相変わらずね」 「私ハ他人カラ理解サレニクイタイプデネ」 「何それ。自分で言うことじゃないわよ」 傍から見ると辛辣な言葉とはぐらかしの応酬のようだが、 これがルイズとホワイトスネイクにとっての普通である。 最初は口達者なホワイトスネイクとどう接するべきか分からなかったルイズも、 次第に本来のトゲトゲしさをホワイトスネイク相手にも発揮するようになり、今の形に落ち着いた。 「結局、舞踏会ニハ行カナイノカ?」 「そうよ。昼に言ったじゃない」 「ダガマダ理由ヲ聞イテイナイ」 「ドレスが燃えちゃったからよ。あんたのせいでね」 「ダッタラ何故昼ニソレヲ言ワナカッタ? 言ッテ恥ズカシイ理由ジャアナイト思ウガナ」 見え見えのウソはあっさり看破された。 恐らくドレスが燃えたのは事実だろう。 燃えずに無事で残ったものが何着あるかよりも、 多少焦げるだけで済んだドレスが何着あるか考えた方がいいくらいに、無事なドレスは少ないに違いない。 でもそれはルイズの本来の理由ではない。 「イヤよ。言いたくないわ」 「ソンナニ恥ズカシイ理由ダッタトハナ……コレデハナオサラ聞ク必要ガアル」 「ち、違うわよ! 別に恥ずかしくも何ともないし、ふ、普通よ! 普通の理由!」 「ダッタラ言エヨ。恥ズカシクナイ理由ナラ、言ッテモ何トモ無イダロウ?」 「イヤって言ったらイヤなの! しつこいわよ、ホワイトスネイク!」 頑としてルイズは本音を言おうとしない。 口先で論破して降参させようとするのは失敗だったか、とホワイトスネイクは反省した。 (所詮、小娘ダカラナ) かと言って昼のように多少誠意を見せた(とホワイトスネイクは思っている)にしても、結局ルイズは言わないのだ。 (記憶ヲ覗ケバ簡単ナンダガ、ルイズニソレヲヤルノハ私ノプライドガ許サン……。 カト言ッテ、今更『やっぱり聞かない』ナドト前言撤回スルツモリモナイ。ト、ナルト……) 「……交換条件ダ」 ホワイトスネイクは譲歩を申し入れた。 ルイズ相手に譲歩などやるのもシャクだったが、 舞踏会に行かないでいる理由を聞かないことの方がもっとシャクだった。 期待していた舞踏会がワケの分からない理由でお流れになるのは腹立たしかったし、 そもそもホワイトスネイクは他人に秘密を持たれるのが大嫌いなのだ。 「交換条件?」 「ソウダ。私ガ一ツ、ルイズノ言ウコトヲ私ニ可能ナ限リデ何デモ聞イテヤル。 ソノ代ワリニ、オ前ハ舞踏会ニ行カナイ理由ヲ言エ」 「な、何でも!?」 「何ヲソンナニ驚イテイル」 「だ、だってあんた、今までちっともわたしの言うこと聞かなかったのに……」 「ダカラコソ交換条件ニナルノダ。希少価値ガアルカラナ」 ルイズは少し考えてから、 「ほ、本当に、本当に言うことを一つ、『何でも』聞くのね?」 「可能ナ限リデダガナ」 「わ、分かったわ!」 そう言って、またしばらく考え込み、 「いいわよ。その条件、呑んであげるわ」 ホワイトスネイクの要求に応じた。 「ソレハ何ヨリ。デハ行カナイ理由、聞カセテモラオウカ」 「……別に、大したことじゃないのよ? 本当に大したことじゃないんだから。 聞いてがっかりするかもしれないわよ?」 「御託ハイイカラ、サッサト言エ」 そう言われて、ルイズは深呼吸一つすると、 「……踊る相手が、いないからよ」 ぽそっと、そう言った。 「イナイナラ探セ」 ホワイトスネイクの第一声はそれであった。 「いるわけないわ。探したって、いないのよ。 スタイルはキュルケみたいによくないし、殿方とお話しするのは苦手だし。 ……それに、どこへ行ってもわたしが『ゼロ』なのは変わらないもの」 「ツマリ、コウイウコトカ? 『舞踏会に行ったことはないが、行ってもどうせ踊る相手はいないだろう』」 「学院に入る前は行ってたし、相手だっていたわよ。 でも学院に入れば家柄がどうとか、お父様がどうとか、お母さまがどうとかは関係ないの。 ……どこへ行ったって同じよ。どうせここでは、一緒なんだわ」 そう言って、ふんと不貞腐れるルイズ。 「……心底呆レタナ。食ワズ嫌イト同ジジャアナイカ」 「な、何ですってえ!?」 頭ごなしに否定されたルイズが声を上げる。 「勘違イスルナヨ。無謀ヲヤレトカ、ソウイウ意味ジャアナイ。 本質ヲ知ラナイクセニ知ッタ気ニナッテルカラ、ソウ言ッタンダ」 「本質って何よ!? そうやってあんたはいつもわたしのことを知った風に!」 「事実ダ。舞踏会デソレヲ証明シテヤル」 「どうやって?」 食い下がるルイズを見てホワイトスネイクは不敵に笑うと、すっと立ち上がった。 そして、ルイズの頭の上に手を乗せる。 「ちょ、ちょっと!」 「心配スルナ。取ッテ食イヤシナイサ」 「少シ、『魔法』ヲカケルダケダ」 その瞬間、ルイズの体の周囲に異変が起こる。 ズザザ……ズザザ……ザザッ、ザザッザッ…… 辺りに霧のようなものがたちこめ、ルイズが着る学生服が変化していく。 白いブラウスは胸元が開いた純白のドレスと、同じく純白の、肘まである手袋に、 黒いスカートはレースで飾り付けられたドレスの裾に生まれ変わる。 首には付けた覚えもない金の首飾りがあった。 「え、え? な、何これ? 何これ!?」 「『幻覚』ダ。実際ニ変化シタノデハ無イガ、コレデモ十分意味ガアル」 ホワイトスネイクの幻覚能力。 周囲の人間の脳に干渉し、その五感をホワイトスネイクの意のままに変化させる。 「基本的には」効果範囲はホワイトスネイクの周辺に限定されるが、それに反比例して極めて強力な効果を持つ。 「サテ、着替エモ済ンダトコロデ出カケルゾ」 「出かけるって……舞踏会に? イヤよ! どうせ行ったって笑い物になるだけだわ!」 「ソウナッタラ私ノ首ヲクレテヤルサ」 「く、首って! あんた正気なの!?」 「全ク正気ダ。ムシロルイズハ現実ヲ堅苦シク考エ過ギテイル。 世ノ中ハオ前ガ思ッテイルヨリズット単純デ、ズット馬鹿ラシクデキテイル」 「そ、そんなこと言ったって!」 「舞踏会ハモウ始マッテイル頃ダナ? 近道ヲ行クゾ」 そう言うや否や、ホワイトスネイクはルイズを抱き上げて、医務室の窓から飛び出した。 空を飛び、壁を蹴り、屋根の上を駆け抜ける。 まるで風みたい、とルイズは思った。 そして、あっという間にアルヴィーズの食堂に辿り着くと、 2階ホールのバルコニーに静かに降り立った。 ホールではちょうど一曲終わったところらしく、 生徒たちは次のダンスの相手を探しているようだった。 中には何人もの男の子からダンスを申し込まれる女の子、 逆にたくさんの女の子が行列を作る男の子がいる。 彼らはまさにこのダンスホールの主役であった。 「サテ、ココカラガ面白イトコロダ」 「でももう始まっちゃってるのよ? 今さら入って行ったって……」 ルイズは不安そうに目を伏せる。 「危ないですよ、外から入ってきたりしたら!」 そこに衛兵の声が掛けられる。 衛兵は平民なのか、ホワイトスネイクが見えていないようだった。 「もう舞踏会は始まっています。 こちらへどうぞ」 そう言ってルイズに近づいてくる衛兵に対し、 ズギュン! ホワイトスネイクは何のためらいもなく、彼の額に指を差し込んだ。 「オ前ガヤルベキコトハソンナノジャアナイ。 主役ノ到着ヲ、コノ広イホールニ大々的ニ発表スルコトダ」 そして引き抜く。 衛兵はとと、と数歩後ずさりすると、ホールに体を向けてびしっと背筋を伸ばし、 「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢の おなぁ~~~~~りぃ~~~~~~~~!!!!」 ホール全体に響くような声で、ルイズの到着をアナウンスした。 その場の目が一斉にバルコニーのルイズに向かう。 「え、え? ちょ、ちょっとホワイトスネイク!」 この状況を作り出した張本人を問いただそうとするが、すでにホワイトスネイクの姿は無い。 逃げたのだ。 相変わらずひどいヤツである。 一方、ホールの男の子たちの目はルイズに釘付けになった。 彼らの目に映るのは、普段ゼロ、ゼロとバカにしてきた女の子だが、 今この場のルイズは宝石のように美しく、周りの空気ごと輝いているようにさえ見えた。 純白で統一された上品なデザインのドレスはルイズの桃色のブロンドを引き立て、 彼女の高貴な一面をこれでもかと強調する。 その美しさに魅了された男の子たちが、一人、二人とルイズに歩み寄る。 そして気がつけば、ルイズは1ダース以上の男の子にダンスを申し込まれていた。 誘われ方どころか断り方さえ知らないルイズは言われるがままにホールの中心へと手を引かれていく。 楽士たちが音楽を奏で始める。 清流が流れるように、小さく、滑らかに演奏される音楽に合わせて、生徒たちはダンスを踊り始めた。 その中心にルイズがいる。 その外側には、彼女と踊りたがる男の子たちと、彼女のためにダンスの相手を失った女の子がいる。 今、舞踏会の主役はルイズただ一人だった。 「なかなかやるじゃない」 それを横目に、キュルケがそう呟く。 キュルケの圧倒的魅力を前にしてルイズに流れることができた猛者はいなかったようで、 彼女は踊る相手には事欠いていなかった。 ホールの外側には彼女とのダンスを心待ちにする者が何人もいる。 ルイズは今までのルイズではない。 それがキュルケが思ったことだった。 彼女は間違いなく成長している。 ラングラーとの戦いでは自分を助けてくれたし、この舞踏会の場でもなかなかの魅力を発揮している。 大したものだ。 でも、 (あたしも、このままじゃおかないわよ) 心の中でそう言って、キュルケはダンスの相手に笑みを投げかける。 相手の男の子はそれだけで顔を真っ赤にしてしまった。 女王は未だ健在、といったところである。 ルイズと一緒にステップを踏む男の子がやさしく微笑む。 彼は先ほど何人もの女の子からダンスを申し込まれていたが、 それらを全部蹴ってルイズにダンスを申し込んでいた。 ルイズはその彼にぎこちなく笑みを返す。 足はちゃんと動いているのに、その下にちゃんと床があるような気がしなくて、 まるで雲の上で踊っているような、そんな気分だった。 心地よいと言えば、すごく心地よい。 なんだかふわふわした気分だ。 でも、なんかヘンだ。 何が変なのかは分からないけど、なんだか落ち着かない。 それが気になって、ダンスに集中できない。 (何か変) それがルイズを見たタバサの、最初の感想だった。 確かに今のルイズは美しい。 同じ女として、そして客観的に見てもその美しさは相当なものだ。 それはタバサも認める。 (しかしその外見と、彼女の心が一致していない) ルイズは明らかに戸惑っている。 いつものお転婆を隠すあれだけの衣装やメイクをしているのに、 何故か彼女は乗り気でないようだ。 言うなれば張り切って山を登る支度をしておきながら、 それをやる当の本人が山登りに積極的でないような感じだ。 まるで他の誰かに準備してもらったかのようだ。 そうタバサは思った。 でも、 (……そんなことより、こっちが大事に) タバサは視線を舞踏会の料理へと戻す。 どれもこれもが、超一流の料理人が腕によりをかけて作った御馳走だ。 そうそう食べられるものではない。 食べ損ねる手など、無い。 タバサは人知れずにぐっと拳を握ると、再び料理と格闘し始めた。 舞踏会の御馳走の寿命はあと30分とないだろう。 その後ルイズは何人かとダンスをしたところで、ホールを離れた。 ダンスを申し込んでくるものはまだ10人以上いたが、彼らに何と言って断ったかは覚えていない。 ふわふわした落ち着かない気分のままに舞踏会の中心から離れ、またバルコニーに戻っていた。 男の子たちはそれを名残惜しそうに見ていたが、 しばらくすると何事もなかったかのように他の女の子たちと踊り始める。 あっという間に、ルイズが来る前に戻っていた。 ルイズはそれを、バルコニーから眺めていた。 「ホワイトスネイク」 ルイズがそう呼ぶと、 「何ダ?」 ホワイトスネイクが、闇から浮かび上がるように現れた。 バルコニーのフェンスに、その外側から肘をついている。 闇に紛れてよく見えない下半身は、ひょっとしたら実体化させていないのかもしれない。 「舞踏会はどうだった?」 「アア、スゴク良カッタサ。 絵画ノ特徴、芸術品ノ特徴、音楽ノ特徴……。 ドウヤラコノ世界ハ私の世界トハマルデナル異ワケデハナイラシイ。 ドコカシラデ共通点ガ見受ケラレルノダ。 ソレガ分カッタダケデモ大収穫ダッタサ」 「そう……それはよかったわね」 しばらく、沈黙が流れる。 ルイズは何か言いたそうに、ホワイトスネイクはそれを待っているようだった。 そして、ルイズがその沈黙を破る。 「わたしと最初に踊った男の子はね、わたしと廊下ですれ違った時、 友達にわたしが『ゼロ』だってことを言って、話のタネにしてたわ」 ホワイトスネイクは何も言わずに聞いている。 「次に踊った男の子も、その次の男の子もそう。 みんな、どこかでわたしをバカにしてた。 なのにみんな、変わっちゃうのね。 あんたがどれだけ『幻覚』でいじったのかしらないけど、 それでもわたしがルイズ・ド・ラ・ヴァリエールなのは一緒なのに。 わたしが『ゼロ』なのはぜんぜん一緒なのに、まるで変わってて、違ってたわ。 みんなわたしにほほ笑んでくれたし、イヤなことは一つも言わなかった。 わたしに『美人』だとか『カワイイ』とか言うばっかりで……」 そこでルイズは言葉を切って、ホワイトスネイクに向き直る。 「ねえ、ホワイトスネイク」 「何ダ?」 「人ってなんでこんなにいいかげんなのかしら?」 それがルイズの、この舞踏会で感じたことの全てだった。 普段はルイズをバカにする少年たちでも、いざ舞踏会でルイズがかわいく見えればダンスを申し込む。 ルイズの見た目一つでまったく心変わりしたのである。 いいかげんだとしか言いようがない。 「ソレハ私モ常々思ウ事ダ」 ホワイトスネイクはまずそう言って、 「ダカラト言ッテ人ヲ全ク信用シナイ、トイウノハタダノ馬鹿ノスル事ダ」 一瞬、二人の間にいやな沈黙が流れる。 「……ドウシタ?」 ホワイトスネイクが怪訝そうな顔で言う。 「……あんたからそれが聞けるとは思わなかったわ」 「随分酷イ事ヲ言ッテクレル」 不機嫌そうな顔を作るホワイトスネイク。 「……っふふ、あっははははは!」 「何ガ可笑シイ」 「だ、だってあんた、そんな顔で……あははは!」 「……理解デキン」 舞踏会のときの落ち着かなさはどこへやら、 ルイズは声をあげて笑いだした。 ホワイトスネイクは呆れ顔でそれを見ている。 「はぁ、はぁ、……でも何で人を信じないのはダメなのよ? あんなの見せられたら、ちょっと他人を信用できなくなるわ」 「ソレハ全クダ。 ダガサッキモ言ッタダロウ? 人間ハモット単純デ、モット馬鹿ラシク出来テイルンダ」 「どういうこと?」 ルイズが聞く。 「ソノママノ意味ダ。 問題ナノハ根ノ部分ダッテコトサ。 ドンナ信念ガ土ノ上ニ生エテモ、ドンナ理想ガ花ト咲イテモ、根ダケハ決シテ変ワラナイ。 タダ伸ビ続ケルダケデ、ソコダケハズット変ワラナイノダ。 ソシテ、ヤメラレナイノダ。 変ワラナイデ、ソノママデ伸ビ続ケルコトヲナ」 「大事なのは、本当の部分って事?」 「ソウイウ事ダ。 私ハソノタメニ記憶ヲ集メル存在ニナッタ。 人間ノ本当ノトコロヲ知ルタメニナ」 「人間の、本当のところ……」 ルイズがホワイトスネイクの言葉を反芻する。 「ソウダ。 ……ルイズ、オ前ニハソレヲヤル勇気ハアルカ?」 「それ?」 「人間ノ根ノ部分……ヒイテハ人間ノ底ノ部分ダ。 ソレハ開ケテハナラナイ『パンドラの箱』ナノカモシレナイ。 シカシソコニコソ人間ノ真実ガアル。 オ前ハ、ソレヲ見ルダケノ勇気ヲ持ッテイルカ?」 十分にハッパはかけた。 今まで自分をバカにしてきた人間が手のひら返してすり寄ってくれば、 他人を信用したくなくなってくるものだ。 とくにルイズのような真っ直ぐな精神を持つ人間ならば。 ハッキリ言って、ルイズは自分を扱うのに向いていない。 真っ直ぐすぎるからだ。 真っ直ぐすぎて、他人から奪うことを本性とする自分の能力が合わないのだ。 だから多少は歪ませてやる必要がある。 真っ直ぐな精神を完全にへし折るわけではない。 多少自分の望む方向に曲げてやるだけだ。 それだけで、ルイズは容赦ない辣腕を振るう帝王にすらなりうる。 ルイズにはそれだけの可能性が―― 「絶対イヤ」 その可能性が、たった今失われた。 思わずフェンスからずり落ちそうになるホワイトスネイク。 「ナ、何デダ?」 「だってあんたみたいになりたくないもの」 「ハァ?」 ホワイトスネイクは自分の耳を疑った。 「わたし、あんたみたいになりたくないのよ。 いっつもわたしの出方をうかがって、バカにして、すごく腹が立つわ。 それで、他人の本当のことを知ろうとするとあんたみたいになっちゃうんでしょ? 絶対イヤよそんなの。あんたみたいな高慢ちきでにくたらしいのになっちゃうなんて死んでもごめんだわ」 ああ、そうか。 ホワイトスネイクは少し納得した。 先ほど自分は、「人間とはもっと単純で、もっと馬鹿らしく出来ている」と言った。 そして「ルイズは真っ直ぐすぎる」と思った。 つまり、こういうことなのだ。 ルイズは馬鹿すぎるぐらいに単純で、まっすぐだったのだ。 彼女には記憶を知ることの有用性より、それを知ったらどうなるかが自分を通して見ていた。 真っ直ぐであるがゆえに、そこまで見えたのだ。 「……ジャアサッキ言ッタ他人ガ信用デキナイッテノハドウスルンダ? 記憶ヲ探ラナクテハ、ソンナコトハ面倒デトテモヤッテハイラレナイゾ」 「それくらい一緒にいれば分かりそうなもんじゃない」 「一緒ニイタトキニハ隠シテイルカモシレナイゾ?」 「だったら出てくるまで待つわよ」 ルイズは口をとがらせて言い返す。 真っ直ぐすぎることは、頑固すぎるってことでもある。 これでは何度言ったところで無意味だろう。 「……ソコマデ言ウナラ、私カラ言ウ事ハ何モ無イナ」 ため息混じりにホワイトスネイクはそう言った。 そして、ふと空を見上げる。 薄青と薄赤の二つの月が輝く空は、真っ暗だ。 だけど地球よりもずっと多くの星が輝いている。 地球は地上の光が明るすぎるから、星が見えないのだそうだ。 ふと横を見ると、ルイズも同じように星を見ていた。 何か気に入らないものを感じたホワイトスネイクは、星を見るのをやめて眼下の草原に目をやる。 不意に、ルイズが口を開いた。 「ねえ、踊らない?」 またバルコニーから落ちかけた。 「何ヲ言イ出スカト思エバ……」 ホワイトスネイクは何とかそれだけ呟いた。 「何よその態度! ご主人様が誘ってあげてるんだから、素直に喜びなさいよね!」 「昼ニモ言ッタハズダガ、私ハダンスヲ心得テイナイ。 踊ルノハ無理ダ」 「いいわよ。わたしが教えてあげるから」 「ソモソモ何デ私ト踊リタガルンダ? 理由ヲ言エ、理由ヲ」 そう言うホワイトスネイクをよそに、ルイズは何か考え込んでいた。 そして、ばっと顔を上げる。 「ねえ、ホワイトスネイク! あんた、さっき言ったわよね?」 「サッキト言ウト……マサカ!」 察しの良いホワイトスネイクはすぐに気付いた。 「『わたしの言うことを何でも聞いてやる』って、言ったわよね?」 「言ウコトニハ言ッタガ……」 「あんたが言ったことでしょ? だったらもう逃げ場はないわよ! ……そうだわ!」 ルイズがまた何かひらめいたようだ。 ホワイトスネイクは嫌な予感がした。 「あんた、私をダンスに誘いなさい!」 ホワイトスネイクはもう返す言葉もなかった。 元々言い出したのは自分だ。 今更撤回したのでは自分のプライドに障る。 腹立たしいことだが、避ける手はない。 「仕方ナイ、カ……」 ホワイトスネイクはブツブツ呟きながら、フェンスをまたいでバルコニーに上がる。 下半身はちゃんと実体化したようだ。 「いいこと? ちゃんとレディを誘うきちんとしたやり方をするのよ!」 「分カッテイル」 ぶすっとした顔でホワイトスネイクは背筋を正す。 「……私ト、一曲踊ッテクダサルカナ? レディ」 そう言って、ホワイトスネイクは手をそっと差し出した。 妙に決まっていた。 それでいて、どこか品の良さを感じさせた。 思わずルイズは、それに見とれていた。 「……踊レバイインダロウ? 踊レバ」 「そうよ、踊れば……」 見とれていたのもつかの間、ホワイトスネイクはそう呟いた直後、ルイズをひょいと抱き上げる。 そしてバルコニーから飛びあがり、壁を蹴って、どんどん上へと上がっていく。 「ちょ、ちょっとストップストップ! どこへ行く気よ、ホワイトスネイク!」 「悪イガ人前デ踊ッテヤルホド私ハ気前ガ良クナクテナ」 そう言いながらホワイトスネイクはどんどん上へと上がって行って―― 「踊ルナラ、人目ニツカナイトコロガイイ」 とうとう、尖塔のバルコニーまで来てしまった。 学院の中で最も高い位置にある場所だ。 「ヤルナラサッサトヤルゾ。 私ハアマリ気ガ長イ方デハナイカラナ」 ホワイトスネイクがずいと手を出す。 さっきとは違う、いつものホワイトスネイクだ。 「もう……じゃ、いい? わたしに合わせるのよ」 その手をルイズはそっと握る。 ホールで奏でられる音楽は、小さいながらもここまで聞こえていた。 それに合わせて、ルイズはステップを踏む。 ホワイトスネイクもそれに合わせて踊りだす。 「以外と出来るじゃない」 「見ヨウ見マネダ」 「それでもよく出来てる方よ」 そう言ってルイズは少しうつむくと、思い切ったように口を開いた。 「信じてあげるわ。 別の世界から来たって事」 「何ヲ今更。ズット前カラ分カリキッテタ事ダロウ」 「うるさいわね。ご主人さまが信じてあげるって言ったんだから、素直に喜びなさいよね」 そこで二人の会話はまた止まり、無言でダンスが続けられる。 ホワイトスネイクは思う。 この主人は、マジに自分と合っていない。 絶望的なまでに合っていない。 相性最悪ってやつだ。 多少褒めるべきところはあるし、ちゃんと成長だってしているのは認める。 でも、合っていないのだ。 そもそも自分の能力は騙すことと奪うことだ。 しかし、ルイズはまずそれを好まない。 最初の授業の時から分かっていたことだが、正々堂々としたのが彼女の好みらしい。 このあたりからもう致命的である。 ルイズに下にいたら、自分は満足に自分の能力を振るえないかもしれない。 それは自分の、ホワイトスネイクとしてのアイデンティティさえ崩壊させうるものだ。 だが、それでも。 (意外ト、悪クハナイ) それが、ホワイトスネイクのルイズに対する評価のすべてであった。 相性最悪なのは認める。 自分にとってロクなことがないかもしれないのも認める。 だがそれでも、何故か斬って落とすことが出来ない。 お前の下で使い魔なんぞやってられるか、という気分にはならないのだ。 だから、意外と悪くない。 気に入らないことはあるし、相いれない部分もある。 だけど、意外と悪くない。 (『意外と悪くはない』、カ……使イ勝手ノイイ言葉ダ) そう思いながら、ホワイトスネイクはルイズとのダンスを続けた。 ダンスは、音楽が途切れるまで、静かに続いた。 To Be Continued...
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6703.html
「黒執事」より「セバスチャン」を召喚 ゼロ執事 第一話 ゼロ執事 第二話 ゼロ執事 第三話
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1009.html
「…何だこいつは」 「よぉ…兄貴…」 夜、ルイズの部屋の前には何故かデルフリンガーにブッ刺されたハムが置いてあった。 とりあえずデルフリンガーからハムを抜きかじる。不味くは無い。 「…何があった?」 「いや、兄貴があのメイドの娘っ子と一緒に馬乗ってるとこ見た嬢ちゃんがな…」 「アレか?馬乗ったことねぇっつーから乗せただけだが…」 「…兄貴そっち方面に関しては結構天然なんだな」 メローネ曰く 「本人にその自覚が無いだけ周りに与える影響がディ・モールトヤバイ。ありがちなジャッポーネのゲームの主人公ぐらいに」との事 「まぁ、そういうわけで嬢ちゃんがプッツンしてハムに刺されたってわけでな」 ハム=生ハム=プロシュート。だろうと検討を付ける。そのハムを刺しているという事は、締め出し継続という事だろう。 「仕方ねーな…まぁいい、明日からはオメーにも手伝ってもらうからな」 「手伝う?何をだ?」 「仕事だ」 それだけ言うと、ハムとデルフリンガーを持ち歩き出す。 「なんの仕事か分からねーけど、今日はどうすんだ?」 「寝る」 「どこで?」 「マルトーが使用人の部屋使っていいつったからな」 その部屋の扉を開け、上着を脱ぎ寝る。 後ろの一人を気にしながら馬を走らせたため例によって疲労感があり、すぐに寝た。 しばらくして、部屋に入ってくるのは熱の流法絶賛習得中のご存知シエスタだ。 本来、他にも使っているのだが、マルトーの深読みしすぎた計らいにより二人のみとなっている。 「おでれーた…これ嬢ちゃんが見たらどえらい事になるな」 スデに体力&精神力回復状態に入っているプロシュートは眠っている。 左腕を頭の下に、右手を腰のあたりに乗せ そして、シャツのボタンを下の方だけ留め胸元を出しているという結構セクスィーな姿で。 そっち方面の趣味の方が見れば間違いなく『や ら な い か』突入というところである。 そんなプロシュートを見てシエスタが大きく息を吸い 「ちょっとだけ…ちょっとだけなら…」 と呟きつつ対象へと近付く。 (おいおいおいおいおいおい!こいつは兄貴色んな意味でヤベーってか普通逆じゃねーの?) ヤバイとは思うが、声には出さない。この剣、何だかんだで結構楽しんでいる。 ゆっくりとだが万力を締めるような動きで近付き、開いている右手を握った。 (へ?それだけ?つまんねー) シエスタにとっての不幸?は―プロシュートが、この世界に来るまで常に臨戦態勢であったという事。 逆に幸運は―プロシュートが、グレイトフル・デッドを出しながら眠っていなかった事。 プロシュートにとっての不幸は―疲労と、まだ完治しきっていない怪我で、ここが別世界という事を忘れているという事。 逆に幸運は―この世界に暗殺チームの仲間が居ない事。 右手を握った瞬間グィィッっと腕が左上の方に振り払われ、当然その手をしっかり握っていたシエスタがバランスを崩して倒れ込む。 「グレイトフル・デッ…!…何やってる」 スタンドを出現させた分、タイムラグが生じギリギリ直触りを仕掛ける一歩手前で止まった。発動してたら多分再起不能になる。責任取ってくださいどころじゃ済まない。 プロシュートが下!シエスタが上だッ!の状態でテンパりながらシエスタが答える。 「え、いや!あの!…右手!右手がですね…!」 右手?と疑問符が浮かび自分の右手を見る。掴んでいる、どう見てもシテスタの手を掴んでいる。 さすがに、状況が掴めない。寝ていたはずなのに、なして手を掴んでいるのかと。 (…直触りでも仕掛ける夢でも見たか?) と思いっきりズレた思考を張り巡らせていると 「おーい、明日の食材の搬入について聞き忘れた事があ………スマン邪魔したな」 お約束のように入ってきたのは料理の事ならトニオさんの次にスゴイナンバー2、マルトーであった。 「ちちちちちち、違いますマルトーさぁぁぁぁぁぁん!」 必死になって否定するが、もーマルトーは止められない。 「だから言っただろ?鍵しとけって。しかし、まぁ…おまえさんの方が仕掛けるとはなぁ…」 感慨深げに目を閉じながら一人うんうんと納得したかのように首を縦に振る。 「不可抗力…不可抗力で、こ、こうなったわけなんですよ~~」 「心配するな、誰にも言いやしないからよ」 「何なんだマジで…」 「…兄貴マジで天然なのな」 「それじゃあな、シエスタ。未来の旦那さんとよろしくやってくれ。鍵忘れるなよ」 廊下をスポットライトが当ったような明るさでマルトーが去る。 完璧に自分が押し倒していたと思われorzの形でへたり込む。 が、そこに懐かしい祖父の声が聞こえた (何?押し倒したと思われた?逆に考えるんじゃ『押し倒して事実にしてしまえばいい』と考えるんじゃ) それにしても、このジジイ外道である。 「分かりましたおじいちゃん!『女は度胸!何でもためしてみるもんさ』ってよく言ってくれた、それですね!」 微妙に間違っているが、『覚悟』を決め後ろのリボンを解きエプロンを床に落す。 「せせせ、責任取ってくれなんて言いませんから、その・・・・・・プロシュートさん?」 寝ている。もう思いっきり寝ている。 (…兄貴は、これで素なんだよなぁ。もったいねぇ) このギャング、弟分相当の人間と仲間の状態はよく気付くが、それ以外の事はマジ疎い。 ギャングになる前、女性と付き合った事が無いというわけではないが、根っからの兄貴気質なのであまり続いてなかったりする。 面倒見と顔は良いため固定ファンが居たぐらいだが、ギャングになってからはさすがにそんなものも居ない。 「わたしって魅力無いのかしら…」 そう言いながら、自信を失ったかのようにため息を付く。 起きていれば多分、説教開始だが当人が寝ているためそれは起こらない。 モンモンとした気分でベッドに潜り込み布団を頭まで被り、色々まぁR指定一歩手前な想像をした後、寝た。 それから数日経過したがプッツンしっぱなしのルイズが昼頃プロシュートが毎日馬に乗って出かけているのを見付けた。 「ご主人様を放って何やってるのよ…!あのメイドは一緒じゃないみたいだけど」 自分が締め出している事は思いっきり棚に上げているが、毎日放っぽり出されるのは気に入らないご様子。 「昨日真夜中に帰ってきたのを見たけど何してるのよあいつ……まさか!いえ…でもそんな…だけど剣持ってるし…それに確か」 (そうなってくるとオレとしては脱走し資金・食料を得るために どこかの貴族の館に押し入りそいつの家のベッドの上には見知らぬ老人の死体が転がってるって事になるな) 「こんな事言ってたわよね…」 「な、何が目的だ!」 「答える必要はねーな」 その館には二人の男しか居ない。他は全て朽ち果てている。 「貴族にこ、こんな真似をしてただで済むと思っとるのか!この私を誰だとおもっちょる!死刑だ!死刑にしてやる!」 「なに…オメーが心配する事じゃあねーよ。朝、見付かるのは身元不明の老人の死体なんだからな…」 ズキュン! 屋敷から出てくるプロシュート。だがその背にはその館にあった財宝が詰め込まれていた。 「貴族つってもシケたもんだな…次は王室を殺るか…」 トリステインの貴族の館が次々と襲撃される事件が勃発するが、それは遂に王室にまで及ぶ事になる。 秘法が全て盗み出され城に残ったものは兵士とメイジの朽ち果てた死体。そして王女―アンリエッタまでもが朽ち果てていた。 「そんな事になったら…破滅だわ!…どうしよう…ヴァリエール家がわたしの代で終わるなんて…ちいねぇ様ごめんなさい!」 壁に頭を打ち付けながら犯罪的想像をしているが遂に決意したかのように立ち上がる 「フフ…ウフフフ…これは…犯行現場を突き止めて躾けないと駄目みたいなようね…」 ドス黒いオーラを出しながら後を追うべく厩舎へと向かうが後ろから有無を言わさない声がかかった。 「ほーう…この『疾風』のギトーの授業をサボってどこに行こうというのかね?」 教師陣知名度ワーストナンバー1のエセスネイプことギトーであった。 「行かせてください!ヴァリエール家の未来が懸かってるんです!」 「…ヴァリエール家の心配より君の単位の心配をしたまえ」 単位!それは学生生活においてかなりのパーセンテージを秘める言葉ッ! 現在、魔法成功率ゼロのルイズにとってそれが一つ減るだけでもディ・モールトヤバイ! 「…分かりました」 素直に従うルイズを見て教室に向かうギトーだが、歩の速度を落したルイズが少し距離を開けた瞬間…逃げた。 「かかったなッ!アホがッ!!」 「偏在だ」 「ふぎゃ…!」 杖で思いっきりシバかれたルイズが引きずられるように教師に運ばれた。 「それとオールド・オスマン師が呼んでいたので授業終了後に向かうように」 「S.H.I.Tッ!王室もロクなもんを送りつけてこんのぉ…まがいものにしても文字すら書かれておらぬではないか」 オスマン自身各地で始祖の祈祷書と呼ばれるものは幾百と見てきたが何も書かれていないというのは初めてだ。 そこにノックの音がした。 「秘書を雇わねばいかんな…また酒場に行くかの!…コホン!鍵は掛かっておらぬ。入ってきなさい」 それにしても、このジジイ全く懲りていない。 入ってくるなり開口一番ルイズが口を開いた。 「話というのは…まさか!プロシュートがどこかの屋敷を!?そうなんですねオールド・オスマン!!」 「お…落ち着きなさいミス・ヴァリエール。君の使い魔の事ではない」 かなりテンパっているルイズに少し引いているオスマンだが思い出したかのように祈祷書を差し出した。 「何ですかこれは?…まさか、ヴァリエール家取り潰しの……!!」 「…ミス・ヴァリエールの使い魔は何かやらかしたのかね?」 「あ…いえ、それでこの本は?」 墓穴掘ったと後悔しつつ話題を変えるべく話を本に戻す。 「始祖の祈祷書と言われるものでな、王室の伝統で王族の結婚式の際には貴族より選ばれた巫女が祈祷書を手に詔を詠みあげねばならん」 「それで、わたしが呼ばれた理由は?」 「姫がその巫女にミス・ヴァリエールを指名しておる」 「姫様が?」 「うむ、巫女は式の前より、この『始祖の祈祷書』を肌身離さず持ち歩き詔を考えねばならぬ」 ぶっちゃけ、今にもプロシュートが王室を襲うのではないかと気が気ではない状況なのだが姫様の頼みであるなら断れない。 「み、詔もわたしが考えるんですか!?」 「草案は宮廷の連中が推敲するじゃろうから心配せずともよい。伝統というものは厄介なもんじゃのぉ だが、ミス・ヴァリエール。逆に考えるんじゃ『王族の式に立会い詔を読み上げるなど一生に一度しかできない』と考えるんじゃ」 「わ、わかりました。謹んで拝命いたします」 (ヴァ、ヴァリエール家の未来が…でも姫様の頼みを断るわけにもいかないし…!) その後、さらに数日経過し虚無の日になったが肝心の詔はキレイサッパリ浮かんでこない。 「我々は一人の英雄を失った、これは敗北を意味するのか!否、始まりなのだ!」 ボツ:英雄がウェールズなのでこんなの結婚式で詠みあげたら同盟破棄は確実。 「ウェールズは風になった――アンリエッタが無意識のうちに取っていたのは敬礼の姿であった―――涙は流さなかったが無言の愛があった――奇妙な友情があった――」 ボツ:上に同じ 「『真実の愛』がある、そして『結婚』がある。昔は一致していたが、その『2つ』は現代では必ずしも一致していない 『真実の愛』と『結婚』はかなりズレた価値観になっている……だが『同盟締結』には『結婚』が必要だ…… 二人にもそれがもう見える筈だ……式を進めてそれを確認しろ…『仮面夫婦への道』を…わたしはそれを祈っているわ、そして感謝する ようこそ……『政略結婚』の世界へ…………」 ボツ:同盟云々より自分の命が危うい 「駄目ね…思い浮かばないどころか色んな電波を受信してる気がするわ…」 気晴らしに部屋の外に出るが、再びプロシュートとシエスタが馬に乗ってどっか行くのを見つけて一時間程固まった。 風上のマリコヌル ― 露伴ちゃんのように爆破され死亡 「………アギ……」 あ、まだ生きてた。 「タバえも~~~~~ん!」 と今にも叫ばんばかりにタバサの部屋の前にダッシュかまし扉を開けようとするが、扉に鍵が掛かっていてノックしてもなんの返事も無かったので…『爆破』した。 「ねぇーーーーーーー!シルフィード出してぇーーーーーーーーー!」 始祖の祈祷書片手に、部屋の中に突入するが誰も居ない。が、後ろから声が掛かった。 「あたしも『アンロック』ぐらいした事はあるけど、爆破ってのは無いわよ?」 「タバサ知らない!?というか教えなさい!」 「あの子なら…ヴェストリの広場でシルフィードと一緒だったけど…今は近付かない方がいいわよ…ってもう居ないわね」 全力疾走でヴェストリの広場に向かうが…何故か広場から煙が湧き上がっていた。 (お、おねーさまは一体なにを…) 「次は…海草 そしてワイン 豆を入れた後…野菊…干し芋 鱒 バター」 鍋の中に次々と素材を入れていく。 「そして…はしば…はッ!コフン…!ケフ…!………草」 (なんの草ですかーーー!) 大量のはしば…ゴフン!ゲフン!草を入れ仕上げに入る。 そしてその上澄み汁を水筒に入れた。 「……味見したい?」 (遠慮しますおねーさま) 「そう…気に入ったの。たーんとお飲み」 (逃げるんだよォーーーー!…っておねーさま尻尾は…!きゃうぅぅぅ!尻尾はダメって…!) 逃げようとするが尻尾を思いっきり捕まれシルフィードが悶えているとこにルイズが現れた。 「丁度良かったわ!シルフィード貸して!ヴァリエール家の危機!OK!?分かったなら乗せて!」 「虚無の曜日はこの子は動かないわよ。何があったの」 必死こいて説明するが、強盗だの、メイドだの挙句ヴァリエール家取り潰しの危機だと話が繋がっていない。 「ほら…口開けて」 (おねーさま、そ、そんな無理矢理…だ、ダメです!) 「えーっと話を繋げると、ダーリンがメイドと一緒に馬に乗って強盗しに行ってあなたの家が取り潰されるって事?」 (うぁぁぁぁ、も、もうダメ!は、入っちゃう!水筒の先が入っちゃうぅぅ) ダーリンと聞いたタバサがもう今にもシルフィードに飲まそうとしていた水筒を引っ込め、その背に乗り込む。 (た、助かったぁぁぁ) 「どっち?」 「分かんないけど方角は城下街の方だったわ!」 「馬一頭。見付からなかったら飲ます」 (ごめんなさい、ごめんなさいおねーさま。頑張って見つけるからそれだけは許してください) 「この子が自分から動くなんて珍しいわね。あたしも行くわ」 2時間経過したが依然として見付からない。 タバサが水筒に手をやりシルフィードの頭に近付く。 (ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナ…居ました!おねーさま!!) シルフィードの目を通してタバサが二人を確認し水筒を収める。 「どこ!?どこに!?早くしないとヴァリエール家がぁぁぁぁ」 「あの建物に入った」 そうしてタバサが建物を指差す。 「ねぇ…あれって…」 「もしかして…」 「宿屋」 スタープラチナ・ザ・ワールド! タバサとシルフィードを除いて時が止まり止った世界の中で、なーんかものスゴイピンク色の妄想がリプレイされたッ! ~10分経過~ 「や…やるわね…あの平民…学院じゃできないぐらい激しいことをしてるって事ね…」 先に時が動き出したキュルケがジュルリと涎を飲み込み口を拭いて熱の流法に突入した。 ルイズのは方はなんかブツブツ言っている。免疫が無い分、妄想力(もうそうぢから)が高いらしい。 「……エオル…スーヌ……ル・ヤル……クサ オス………ヌ・ウ…ュ・ル……ド ベオー…ス……ル・スヴ……ル・カノ……シュラ ジュ……イサ………ジュー・ハ…ル・ベ……クン……ル…… 」 6XXX年、ハルケギニアは虚無の炎に包まれた!地は枯れ、海は裂け、あらゆる生命体は絶滅したかに見えた。だが!人類は死滅していなかった!! 「YouはShock!虚無で空が落ちてくるー…YouはShock……」 「なに鼻血流しながらブツブツ言ってるのよ」 モヒカン率のやたら高い世紀末世界が見えたような気がしたがルイズの妄想だったらしい。 「あああああああ、あのサカリの付いたハム…!まままままま、毎日こんな事してたんだわ……!」 今にもキレそうだが鼻血流しながら言っているあたり説得力は無い。 一人冷静なタバサが呆れたように二人を見ているが口を開いた。 「入る?」 その言葉を聞いて二人は実に迷ったッ! キュルケの場合よろしくやっていた場合、参加するかどうかッ! ルイズの場合、今後の扱いをどうするかッ!あと、25%ぐらい泣きたい気持ちでッ! 20分程迷った結果入る事になった。 「ゴクリ…いい…開けるわよ?ってお子様には刺激が強いわよ!」 生唾が止まらない御様子のキュルケさんだが、水筒片手にしたタバサが先に入った。 そして立ち止まって呟いた。 「珍しい…」 『珍しい』、現在進行形で脳内ピンクのお二人にはもうそっち方面としか受け取れない。 「なに?扉入っていきなり!?」 そりゃあいくらあたしでも心の準備ってもんがー。と涎を拭きながら視線を前にやるが、それ以上にブッ飛んだものを見る事になったッ!! そこで見たものは営業スマイル全開でウェイターをやっているのは我らが兄貴だったッ! あの無愛想面がこうも笑えるものかと思えるぐらいスゴかったッ! 「いらっしゃ……い」 扉が開いたのを見てそっちに目をやると見慣れた三人が居たので一瞬その顔を引きつらせるがすぐに顔を戻す。この男プロである。 「三名様入ります」 変わらず営業スマイルで三人を奥の方のテーブルへと運ぶと急に何時もの顔になった。 「…なにをしにきた?」 「いつもの冷静な顔もいいけど、笑顔もステキねー」 「超レア」 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ *┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ 「なにをしにきた?」 「そ、そりゃあねぇ…ルイズ?」 このアマーーーー!わたしに振るのかーーーーーッ!と心の中で恨みながら何とか答えた。 「あんた…が毎日、出かけてるし…きょ、今日だって…あのメイドと一緒だったから…」 「それで、尾けてきたってか」 毒気を抜かれ呆れたように言い放つ。 雰囲気が軽くなったのかキュルケが口を開いた。 「で、ここで何をやってるの?」 「…見りゃあ分かんだろ、仕事だ」 「いや、それは分かるけど…なんで?」 「色々とだ」 そうしてると珍妙な声が聞こえた。 「プロシュートちゃ~~~ん。こっちのお客様の相手してあげてぇ~~~」 「…イエッサー、ミ・マドモワゼル」 そういって離れていったプロシュートと入れ替わるようにシエスタとゴツイピチピチの衣装のオカマがやってきた。 「あれ、皆さん。どうしてこんなところにいらっしゃるんですか?」 いつもとは違ったメイド服のシエスタだったが、後ろのオカマが強力すぎてそっちは目に入っていない。 「…何…やってるの?」 「ここ、わたしの従妹とそのお父さんが経営してるんです。で、こちらがその『ミ・マドモワゼル』ことスカロンさんです」 「あら~~~可愛い娘達ねぇ~~どう?うちの店で働いてみ・な・い?」 ぶっちゃけドン引きで声が出ない。なんとかルイズが声を絞り出す。 「え…その…スカロン?さん」 「ノンノンノン『ミ・マドモワゼル』よ」 「…ミ・マドモアゼル…あいつは…ここでなにを?」 「あいつ?プロシュートちゃんのこと?この前シエスタちゃんと一緒に来てから働いてもらってるのよ~ プロシュートちゃんのおかげで女性客も増えたんだから大満足なのよ。ン~トレビア~~ン」 初めて紹介された時スカロンがプロシュートに迫り、思わずボスが乗り移ったのは内緒だ。 「兄貴ィー、三番テーブル、シフトB」 壁に立てかけられたデルフリンガーから伝令が伝えられると声が聞こえてきた。 「お客さん、うちの店はそういう店じゃあねぇんだぜ…?」 スゴ味の聞いた声が聞こえてくると女性客から黄色い声援が上がった。 ちなみに、これで相手が引き下がらない場合。鳩尾への蹴りから鼻っ柱への膝蹴りx5が入り店の外に放り出される事になる。 そこに扉が開き客が入ってくる。だが、こちらからはそれが見えない。 「『ミ・マドモアゼル』要注意客Oが来店しましたぁ~~」 「まぁOが!?あの人、いっつも妖精さん達にイタズラするのよねぇ~~」 「…妖精さんって…なに?」 「ここで働いてる女の子達のことなんです。店の名前が『魅惑の妖精亭』っていうかららしいんですけど」 しばらくすると、軽い悲鳴が上がった。 「尻なでたぐらいで怒らんでもいいじゃろ?どうじゃ秘書やらんか!」 なんか、ものスゴク聞いた事ある声だった。 「兄貴ィーー5番テーブル、シフトO」 「全然懲りてねーなジジイ……」 「ゲェーーー!どうしてここに…!そ、そうじゃ、良いものあげよう!…だからこの件は内密にな…?」 「……なら、こいつを立て替えて貰いてぇんだが…経費で落ちんだろ…?」 「どれどれ…ちっとばかし高くない?これ」 「無理ならいいんだが…魔法学院院長っつー身分を笠に『魅惑の妖精亭』でセクハラか…大変だな明日から」 「分かった!分かったから…!内密に頼むぞい!」 どう見ても恐喝です、本当に(ry それを終えたプロシュートが戻ってきた。 「『ミ・マドモアゼル』…金は今できたから今日で抜けさせてもらうぜ」 「あらぁ~~~残念ねぇ~~プロシュートちゃんならいつでも歓迎よ」 「そんときは世話になるかもしれないが、頼むから顔を近付けるなッ!」 「いいじゃない、キスしちゃうわぁ~~~」 「うぉぉぉぉああ!!シエスターッ何やってるーッ!早くこいつを止めろーーーッ!!」 ある意味列車から落ちそうになった時より必死であった。 プロシュート兄貴 ― スーツ代GET が精神的に少々ダメージを負う。 要注意客O― スーツ代を経費で落そうとするがもちろん落ちず自腹確定。 ルイズ キュルケ タバサ シエスタ ― 引きつった笑みを浮かべながら傍観 戻る< 目次 続く